フィギュアスケートのペア競技で、日本の歴史を塗り替え続けているのが「りくりゅう」こと三浦璃来・木原龍一組です。
2023年には日本ペアとして史上初の世界選手権優勝を達成し、2025年には2度目の頂点に立ちました。
さらに2026年ミラノ・コルティナ五輪ではフリー世界歴代最高得点を叩き出し、大逆転での金メダルを獲得しています。
四大陸選手権やグランプリファイナルも制し、日本フィギュア界では羽生結弦以来となる生涯ゴールデンスラムも成し遂げました。
この記事では、りくりゅうが世界選手権で残してきた全成績を軸に、得点推移やライバルとの比較、課題や採点をめぐる議論、そして日本のペア競技にもたらした変革まで、あらゆる角度から解説していきます。
りくりゅうが世界選手権で残した全成績と得点推移
りくりゅうは2022年から2025年まで、4年連続で世界選手権に出場しています。
すべての大会で2位以内に入り、優勝2回・準優勝2回という驚異的な安定感を見せてきました。
ここでは各大会の成績と、それぞれの背景にあったドラマを振り返ります。
2022年大会で日本ペア歴代最高の準優勝を達成した背景
2022年の世界選手権はフランス・モンペリエで開催されました。
りくりゅうはショートプログラム(SP)で71.58点の3位につけ、フリーでも127.97点の3位に入り、合計199.55点で準優勝を果たしています。
この成績は、日本ペアの世界選手権における歴代最高位を更新するものでした。
ペア結成からわずか3年でこの高みに到達したことは、国内外で大きな注目を集めるきっかけとなりました。
同年の北京五輪では個人戦7位、団体戦では銀メダル獲得に貢献しており、世界のトップ層に完全に食い込んだシーズンだったといえます。
2023年さいたま大会で日本ペア初の世界選手権優勝を果たした演技内容
2023年3月、さいたまスーパーアリーナで行われた世界選手権は、りくりゅうにとって歴史的な大会となりました。
SPでは当時の自己ベストを更新する80.72点をマークし、堂々の首位発進を見せています。
フリーでは141.44点で2位に入り、合計222.16点で日本ペア史上初の世界選手権優勝を成し遂げました。
| 種目 | 得点 | 順位 |
|---|---|---|
| SP | 80.72点 | 1位 |
| FS | 141.44点 | 2位 |
| 合計 | 222.16点 | 1位(優勝) |
この勝利にはさらに大きな意味がありました。
同シーズンにはグランプリファイナルと四大陸選手権でもすでに優勝しており、主要国際大会を一気に制する「年間グランドスラム」を達成したのです。
日本のペアがシーズンを通じてこれほどの支配力を示したのは、まさに前代未聞の出来事でした。
2024年大会は怪我を抱えながらも準優勝を死守した理由
2023-2024シーズンは、りくりゅうにとって最も苦しい一年となりました。
木原龍一が腰椎分離症を発症し、長期離脱を余儀なくされたのです。
2023年9月のオータムクラシック以降、約138日間も実戦から遠ざかる時期がありました。
満足な練習を積めないまま臨んだ2024年の世界選手権(モントリオール)では、SP 73.53点の2位から、フリーでは144.35点の1位と意地を見せ、合計217.88点で準優勝に輝いています。
優勝こそステラート=デュデク・デシャン組(カナダ)に譲ったものの、コンディション不良の中で表彰台を確保した底力は、多くの関係者から称賛されました。
2025年大会で0.71点差の接戦を制し2度目の優勝を勝ち取った舞台裏
2025年3月のボストン大会は、手に汗握る展開となりました。
りくりゅうはSP 76.57点で首位に立ち、フリーでは143.22点の2位と安定した演技を披露しています。
合計219.79点は、2位のハーゼ・ボロディン組(ドイツ)とわずか0.71点差でした。
この僅差の勝利について、木原は「まだまだ追いかけられる立場なのでうれしい。
僕たちは追いかける立場の方が好き」と語っています。
この優勝により、2024-2025シーズンのISUランキング1位も確定し、名実ともに世界のトップペアとしての地位を固めました。
世界選手権の得点から見るりくりゅうの強さと歴代ペアとの比較
りくりゅうの世界選手権における得点は、大会を重ねるごとに着実に向上してきました。
そして2026年のミラノ五輪では、歴代の名ペアたちの記録を塗り替える得点を叩き出しています。
合計点199点台から231点台へ急成長したスコア推移の全貌
りくりゅうの世界選手権およびオリンピックにおける合計得点の推移は、以下のとおりです。
| 大会 | 合計得点 | 順位 |
|---|---|---|
| 2022年世界選手権 | 199.55点 | 2位 |
| 2023年世界選手権 | 222.16点 | 1位 |
| 2024年世界選手権 | 217.88点 | 2位 |
| 2025年世界選手権 | 219.79点 | 1位 |
| 2026年ミラノ五輪 | 231.24点 | 1位 |
2022年から2026年の4年間で、合計得点は約32点も上昇しました。
2024年は怪我の影響でやや下降したものの、翌年以降はすぐに巻き返しています。
特にミラノ五輪の231.24点は自己ベストを大幅に更新するもので、シーズンを通じた成長曲線の急峻さを物語っています。
フリー世界歴代最高158.13点は歴代王者と比べてどれほど凄いのか
2026年ミラノ五輪でりくりゅうがマークしたフリー158.13点は、ペア競技のフリー世界歴代最高得点です。
それ以前の上位記録と比較すると、この数字の凄さが際立ちます。
| 順位 | ペア名(国) | フリー得点 | 大会 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 三浦璃来・木原龍一(日本) | 158.13点 | 2026年ミラノ五輪 |
| 2位 | ミーシナ・ガリャモフ(ロシア) | 157.46点 | ISU公認大会 |
| 3位 | 隋文静・韓聡(中国) | 155.60点 | 2022年北京五輪 |
ロシアのミーシナ・ガリャモフ組や、りくりゅうの「憧れのペア」でもある中国の隋文静・韓聡組(通称スイハン)といった歴代の名ペアの記録をいずれも上回りました。
なお、ペアの合計得点における歴代最高は、北京五輪で隋文静・韓聡組が記録した239.88点です。
りくりゅうの231.24点は歴代5位に位置しており、合計点では依然としてスイハンの記録が上回っています。
SP世界歴代3位の82.84点が示す技術的な完成度とは
ミラノ五輪では個人戦のSPでミスが出ましたが、それに先立つ団体戦のSPでは82.84点という圧巻のスコアを記録しています。
この得点はペアSPの世界歴代3位にあたります。
さらに、2025年12月の全日本選手権ではISU非公認ながらSP 84.91点という世界歴代トップ級のスコアもマークしました。
SPでの高い安定感と技術的完成度は、りくりゅうの最大の武器のひとつです。
トリプルツイストリフトや高難度のサイドバイサイドジャンプを高い精度で決める力が、世界選手権での連続好成績を支えてきました。
世界選手権と四大陸選手権の連覇で証明した圧倒的な安定感
りくりゅうの強さは、世界選手権だけにとどまりません。
四大陸選手権やグランプリファイナルといった他の主要国際大会でも、常にトップクラスの結果を残し続けています。
四大陸選手権を2度制覇した実績が世界選手権にもたらした自信
りくりゅうは2023年と2025年の四大陸選手権で優勝を飾っています。
四大陸選手権はヨーロッパを除く4大陸の選手が出場する国際大会であり、世界選手権やオリンピックに次ぐ格式を持つ重要な舞台です。
ここでの優勝経験は、直後に控える世界選手権に向けた大きな自信材料となりました。
実際、四大陸選手権を制した2023年と2025年は、いずれもその後の世界選手権でも優勝しています。
シーズン後半にかけてピークを合わせる能力の高さが、この連動した好成績に表れているといえるでしょう。
2023年に達成した年間グランドスラムの意味と歴史的価値
2022-2023シーズンにおいて、りくりゅうはグランプリファイナル、四大陸選手権、世界選手権のすべてで優勝し、「年間グランドスラム」を達成しました。
年間グランドスラムとは、一つのシーズン中にISU主要国際大会を全制覇することを指します。
日本のペアがこの偉業を成し遂げたのは、もちろん史上初のことでした。
この快挙は、りくりゅうが単なる一発屋ではなく、シーズンを通じて安定した高パフォーマンスを維持できるチームであることの証明となっています。
羽生結弦以来の生涯ゴールデンスラムを達成した偉業の全容
2026年ミラノ五輪での金メダルにより、りくりゅうは「生涯ゴールデンスラム」を達成しました。
生涯ゴールデンスラムとは、選手生活を通じてオリンピック、世界選手権、グランプリファイナル、四大陸選手権という4つのISU公認シニア主要国際大会すべてで優勝することです。
日本のフィギュアスケート界では、羽生結弦以来2例目の快挙となります。
ペアとしてこの偉業を達成したのは日本史上初であり、りくりゅうのキャリアにおける最大の金字塔と呼ぶにふさわしい記録です。
五輪金メダル獲得直後、ファンの間では「ゴールデンスラムも達成している」という事実が話題となり、改めてその凄さを実感する声が広がりました。
りくりゅうの世界選手権における課題と逆境の乗り越え方
華々しい成績の裏には、数々の課題や逆境がありました。
りくりゅうは常に困難と隣り合わせの状態で戦い、それを乗り越えることでさらなる進化を遂げてきたペアです。
得意のリフトでミスが出る原因とペア競技特有のリスクとは
りくりゅうの最大の課題として注目されたのが、2026年ミラノ五輪個人戦SPで発生したリフトのミスです。
このミスにより得点は73.11点にとどまり、まさかの5位発進となりました。
三浦は「手のグリップがずれた。
少しずれてしまうと今回のようになる」と原因を説明しています。
コーチのマルコットも「練習では見たことがないミス」と驚きを表明しました。
ペア競技では、リフトやスローなど2人の呼吸が完璧に合わなければ成立しない技が多く含まれます。
練習で99%成功していても、本番の緊張感や氷の状態といった微細な変化が1%のズレを引き起こすリスクは、常に存在しているのです。
リフト単体で3.90点という低い評価に終わり、本来であれば高い加点が期待できる得点源での失点が全体に大きく影響しました。
木原龍一の腰椎分離症と三浦璃来の肩脱臼が競技に与えた影響
りくりゅうは、2人とも深刻な怪我との闘いを経験しています。
木原龍一は腰椎分離症を患い、2023-2024シーズンには長期離脱を強いられました。
完治には至っておらず、痛みをコントロールしながら競技を続けている状態です。
一方、三浦璃来は左肩脱臼の既往歴があり、2022年北京五輪後や2025年の全日本選手権でも肩の負傷が影響しました。
しかし、リハビリと徹底した筋力トレーニングを積み重ね、「人生で今が一番、肩が強い」と語るまでに回復しています。
こうした怪我のリスクは、ペア競技の宿命ともいえるものです。
リフトで高い位置に持ち上げられる三浦の肩や、三浦を支え続ける木原の腰には、常に大きな負荷がかかっています。
SP5位から6.90点差を逆転した五輪史上最大の巻き返し劇
ミラノ五輪のペア個人戦では、SP首位のハーゼ・ボロディン組(ドイツ)と6.90点もの差がつきました。
絶望的とも思える状況の中、フリーでりくりゅうは冒頭のトリプルツイストリフトから始まり、4本のリフト技をすべてノーミスで成功させています。
SPで課題となったリフトも完璧にこなし、世界歴代最高の158.13点を叩き出しました。
合計231.24点は2位のメテリキナ・ベルラワ組(ジョージア)に9.49点差をつける圧勝です。
この6.90点差の逆転は、ISU現行採点方式のオリンピックにおいて史上最大の逆転劇と報じられています。
過去最大の逆転だった2018年平昌五輪のサフチェンコ・マソ組(ドイツ)による5.80点差を上回る記録でした。
コーチのマルコットがSP翌日に伝えた「昨晩を理解するな」という言葉が、2人のメンタルを立て直す鍵になったとされています。
りくりゅうの世界選手権優勝を支えたチーム体制と成長の秘密
世界のトップに立つためには、選手2人の力だけでは足りません。
りくりゅうの躍進には、優れたコーチの存在やトレーニング環境、そしてペア結成に至るまでの運命的な経緯が大きく関わっています。
カナダ拠点でのマルコットコーチの指導が生んだ飛躍的な進化
りくりゅうがペアを結成した2019年から一貫して師事しているのが、カナダ人のブルーノ・マルコットコーチです。
2人はカナダ・オークビルに拠点を移し、マルコットコーチの下で技術と表現力の両面を磨いてきました。
マルコットコーチは、技術的な指導だけでなく精神面でも大きな支えとなっています。
ミラノ五輪でSPのミスに動揺する2人に対し、「昨晩を理解するな(昨日のことは忘れろ)」という言葉で切り替えを促したエピソードは広く知られています。
言語や文化の壁がある海外での生活を、2人三脚で支えてきたコーチの存在なくして、りくりゅうの世界選手権連覇や五輪金メダルは語れません。
シングル出身の2人がペアの世界トップに上り詰めた異例の経歴
りくりゅうの特徴のひとつが、2人ともシングルスケーター出身であるという点です。
三浦璃来は兵庫県宝塚市出身で、5歳でフィギュアスケートを始めました。
小学4年から2年間は心身を鍛えるために空手教室にも通っていた経歴を持っています。
木原龍一は愛知県東海市出身で、中京大学に進学するなどシングルの選手として活動していました。
2013年にペアへ転身し、高橋成美、須崎海羽と組んだ後、2019年に三浦とペアを結成しています。
ペア競技ではジュニア時代からペアを専門に鍛えてきた選手が多い中、シングル出身の2人が世界の頂点にたどり着いたのは異例のケースです。
シングルで培ったジャンプ技術がペアでのサイドバイサイドジャンプの精度に活きており、これがりくりゅう独自の強みとなっています。
「奇跡の出会い」と呼ばれるペア結成の経緯と相性の良さ
2019年春、木原は須崎海羽とのペア解消後、新たなパートナーを探していました。
海外からの帰国後は古巣のリンクで練習を再開しつつ、自ら志願してスケートリンクでアルバイトをしていた時期もあったとされています。
競技を続けられるかどうかさえ不透明な状況の中、トライアウトを経て出会ったのが三浦璃来でした。
結成からわずか数か月で息の合った演技を見せ始め、周囲はこの出会いを「奇跡」と表現しました。
身長差は約29cm(三浦145cm、木原174cm)あり、リフトやスローの際のバランスが取りやすいとされています。
年齢は9歳差ですが、氷上での息の合い方は「阿吽の呼吸」と称されるほどです。
ペア結成7年目となる今も、その関係性は深まり続けています。
2024年と2025年の主要ライバルとの勢力図はどう変化したか
りくりゅうが世界選手権で連続して好成績を残す中、ライバルたちも着実に力を伸ばしてきました。
ペア競技の勢力図は年々変化しており、そのダイナミズムが大会をさらに面白くしています。
ハーゼ・ボロディン組との世界選手権での激闘と力関係
ドイツのミネルバファビエンヌ・ハーゼとニキータ・ボロディンのペアは、りくりゅうにとって最も拮抗したライバルです。
2025年の世界選手権では合計点でわずか0.71点差という紙一重の戦いとなりました。
ミラノ五輪でもSP 80.01点で首位に立ち、りくりゅうに6.90点差をつけています。
SPでの安定感に定評があるペアで、高いレベルの技術力を持っています。
ただし、フリーではりくりゅうの圧倒的なスコアに及ばず、最終的にミラノ五輪では銅メダルにとどまりました。
世界選手権とオリンピックを通じて、両ペアは互いを高め合う関係にあるといえます。
急成長するメテリキナ・ベルラワ組が台頭した影響
ジョージアのアナスタシア・メテリキナとルカ・ベルラワのペアは、若い世代の筆頭格として急成長を遂げています。
世界ジュニア選手権で2年連続優勝した実力を引っさげてシニアに参戦し、ミラノ五輪では銀メダルを獲得しました。
ジョージアに冬季五輪初のメダルをもたらすという快挙でもありました。
合計221.75点はりくりゅうとの差が9.49点あったものの、今後さらにスコアを伸ばしてくる可能性は十分に考えられます。
20歳のメテリキナを中心とするこのペアの成長は、今後のペア競技の勢力図を大きく変える可能性を秘めています。
北京五輪王者スイハン組の復帰がペア勢力図に与えた変化
2022年北京五輪でペア合計の世界歴代最高得点239.88点を記録して金メダルを獲得した隋文静・韓聡組(中国、通称スイハン)は、長い休養を経て2025-2026シーズンに電撃復帰しました。
スイハンはりくりゅうが「憧れのペア」として名前を挙げるほどの伝説的な存在です。
しかし、ミラノ五輪ではSP 72.66点にとどまり、最終的に5位で大会を終えています。
ブランクの影響が色濃く出た結果でしたが、フリーの歴代最高記録をりくりゅうに更新されたことは、ペア競技の世代交代を象徴する出来事となりました。
りくりゅうのフリー158.13点が、スイハンの155.60点やロシアのミーシナ・ガリャモフ組の157.46点を超えた事実は、新たな時代の到来を告げるものです。
りくりゅうの世界選手権での採点に対する海外の評価と反応
ミラノ五輪でのフリー世界歴代最高得点は、国際的に大きな反響を呼びました。
称賛が多数を占める一方、採点に疑問を呈する声も一部のメディアから上がっています。
ISUや各国メディアが絶賛した演技の技術的な評価ポイント
ISU(国際スケート連盟)公式はりくりゅうのフリー演技を「ショータイム」と紹介し、高く評価しました。
イタリアの現地メディアは「マジカルなペア」と称え、アメリカのニューヨーク紙はりくりゅうの写真をベストショットに選定しています。
技術的には、冒頭のトリプルツイストリフトの高さとスピード、サイドバイサイドジャンプの正確な同期、4本のリフト技の安定した実行が評価ポイントとして挙げられています。
演技構成点(プログラムコンポーネンツスコア)でも高い評価を受けており、映画「グラディエーター」の楽曲に乗せた表現力の豊かさが、技術点と合わせて総合的な高得点につながりました。
大会前の公式練習の段階から、海外の記者が「今まで見た彼らの中で最もクリーンな演技だった」と驚嘆していたことも報じられています。
ロシアメディアの批判に対してライバル選手たちが反論した内容
フリーの世界歴代最高得点に対し、ロシアのメディアやロシア人選手の一部から「過剰な高得点」との批判が出ました。
ロシアメディア「スポーツ」は「新たな大きなスキャンダル」と報じ、ある選手は「フリーで158点はこのペアにとってやりすぎだ」と発言しています。
ロシアはISUの制裁措置によりミラノ五輪に選手を派遣できなかった背景があり、この批判にはそうした事情も影響しているとの見方が一般的です。
一方、実際にリンクで競い合ったライバルペアたちは異なる見解を示しました。
銀メダルのメテリキナ・ベルラワ組と銅メダルのハーゼ・ボロディン組はいずれも「彼らは得点に値する」と明確に反論しています。
試合後の表彰式では、敗れた2組がりくりゅうの元に歩み寄って祝福する姿が見られ、「これはスポーツマンシップの最高の形だ」と世界中で感動を呼びました。
中国やイタリアなどペア強豪国のファンが寄せた称賛の声
ペア競技の伝統的な強豪国である中国のファンやメディアからも、りくりゅうへの高い評価が寄せられています。
「試合を見ればわかる」「言う人は多いけれど、私は大好き」といった声が報じられており、演技そのものの質を認める意見が大勢を占めました。
イタリアのメディアは開催国の視点から「マジカルなペア」と絶賛し、ISU公式も特別な扱いで紹介しています。
世界中のフィギュアスケートファンの間では「歴史に残る瞬間」「鳥肌が立った」「永遠に響き渡る演技」といった言葉が飛び交いました。
一部の批判的な声はあるものの、国際的な評価としては圧倒的に好意的な反応が主流となっています。
りくりゅうが日本フィギュア界のペア競技にもたらした変革
りくりゅうの活躍は個人の成績にとどまらず、日本のフィギュアスケート界全体に大きな変化をもたらしました。
かつて日本が弱いとされていたペア競技の構造そのものを変えたのです。
日本の団体戦メダル獲得に不可欠な存在となった理由
オリンピックのフィギュアスケート団体戦は、男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスの4種目の合計順位点で争われます。
かつての日本はシングル勢が強い一方、ペアが弱点となっており、団体でのメダル獲得には大きなハードルがありました。
りくりゅうの台頭により、この弱点は完全に解消されています。
ミラノ五輪の団体戦ではペアSPで82.84点のトップスコアを記録し、日本チームの2大会連続銀メダル獲得に決定的な貢献を果たしました。
チームメイトからも「りくりゅうがいいバトンを渡してくれた」と感謝の声が上がっています。
後続ペアの育成と日本から五輪に2組出場が実現した意義
りくりゅうの成功は、日本におけるペア競技全体の発展にもつながっています。
ミラノ五輪では、りくりゅうに加えて長岡柚奈・森口澄士組(愛称「ゆなすみ」)も出場を果たしました。
日本から同一大会に2組のペアが出場するのは、オリンピック史上初のことです。
りくりゅうが世界選手権で好成績を残し、日本のペアへの枠を広げてきたことが、後続選手たちの出場機会創出に直結しました。
日本でのペア競技に対する認知度や人気も飛躍的に向上したと一般的に評価されており、競技人口の拡大にも好影響が期待されています。
今後の世界選手権出場の可能性と競技続行への展望
ミラノ五輪で見事な金メダルを獲得したりくりゅうですが、今後のキャリアについては注目が集まっています。
2026年の世界選手権は3月24日から29日にかけて開催が予定されており、出場の可能性は残されている状況です。
木原龍一は2026年2月時点で33歳であり、ペアの男子選手としてはベテランの域に達しています。
三浦璃来は24歳とまだ若く、競技面ではさらなる伸びしろがあるといえるでしょう。
引退や今後の方針に関する公式な発表は、現時点ではなされていません。
世界選手権での3度目の優勝を目指すのか、あるいは五輪金メダルという最高の形でキャリアの区切りとするのか、今後の動向から目が離せない状況です。
まとめ:りくりゅうの世界選手権は挑戦と進化の歴史そのもの
- りくりゅうは2022年から2025年まで世界選手権に4年連続出場し、優勝2回・準優勝2回を記録している
- 2023年のさいたま大会で日本ペア史上初の世界選手権優勝を達成した
- 2025年のボストン大会では0.71点差の接戦を制して2度目の優勝を果たした
- 合計得点は2022年の199.55点から2026年五輪の231.24点へと約32点上昇した
- ミラノ五輪のフリー158.13点はペア競技の世界歴代最高得点である
- 四大陸選手権2度の優勝と合わせ、2023年に年間グランドスラムを達成した
- 五輪金メダルにより羽生結弦以来となる日本人2例目の生涯ゴールデンスラムを成し遂げた
- 木原の腰椎分離症や三浦の肩脱臼など怪我との闘いを乗り越えながら戦い続けている
- SP5位から6.90点差を逆転した五輪の演技は現行採点方式で史上最大の逆転劇である
- 日本のペア競技の戦力構造を変革し、後続ペアの育成や団体戦メダル獲得に大きく貢献した

