りくりゅうペアの代名詞ともいえるツイストリフトは、フィギュアスケートファンの間で「すごい」と大きな話題を集めています。
三浦璃来選手が宙を舞う圧倒的な高さ、木原龍一選手の正確なキャッチ技術、そして2人の息がぴたりと合ったシンクロナイズド。
2026年ミラノ・コルティナ五輪では、ショートプログラム5位からフリーで世界歴代最高得点を叩き出し、大逆転で金メダルを獲得しました。
この記事では、りくりゅうのツイストリフトがなぜここまで高く評価されるのか、ペア結成の経緯から採点の仕組み、五輪での得点内訳、過去の失敗と克服の歴史、そして専門家の評価まで、あらゆる角度から解説していきます。
りくりゅうのツイストリフトとは?ペア結成のきっかけとなった運命の大技
りくりゅうのツイストリフトは、単なる技術要素を超えて、2人のペアとしての原点そのものです。
2019年のトライアウトで初めて合わせたツイストリフトの感触が、世界の頂点へ続く道の第一歩となりました。
ここでは、ツイストリフトの基本的な仕組みから、りくりゅう結成にまつわるエピソードまでを紹介します。
ツイストリフトの基本ルールと採点の仕組み
ツイストリフトとは、フィギュアスケートのペア競技で行われる大技の一つです。
男性スケーターが女性スケーターを頭上に投げ上げ、女性が空中で回転し、降りてくるところを男性がキャッチするという一連の動作で構成されています。
回転数によって難易度が異なり、りくりゅうが演じるのは3回転、いわゆるトリプルツイストリフトです。
採点は「基礎点」と「出来栄え点(GOE)」の合計で決まります。
基礎点は技の難易度とレベル(1〜4)によって変動し、レベル4が最高評価となります。
レベルの判定には、空中での回転の質、キャッチの安定性、女性の空中姿勢など複数の条件を満たす必要があるのです。
GOEはジャッジが演技の質を評価して加減する点数で、高さやスピード、流れの美しさなどが反映されます。
つまり、同じトリプルツイストリフトでも、レベルとGOEの組み合わせ次第で得点は大きく変わってきます。
2019年のトライアウトで衝撃を与えた初めてのツイスト
りくりゅうのペア結成は、2019年7月末に名古屋市内のアイスリンクで行われたトライアウトがきっかけでした。
当時、三浦璃来選手はジュニアのペアスケーター、木原龍一選手はソチ五輪・平昌五輪に出場した経験を持ちながら新たなパートナーを探していた時期です。
2人の共通の知人であるアイスダンス元五輪代表の小松原美里選手が橋渡し役となり、トライアウトが実現しました。
木原選手が手本を見せるために三浦選手を頭上に投げるツイストリフトを試みたところ、初めてとは思えないほど三浦選手が高く跳び上がったのです。
木原選手はこの瞬間を「衝撃だった」と振り返っています。
三浦選手もまた「こんなに滞空時間がある」と驚きを隠せなかったと報じられています。
初対面で試したたった一度のツイストリフトが、2人の運命を変える瞬間となりました。
2019年8月にペア結成を正式発表し、ここから世界王者、そして五輪金メダルへの道が始まったのです。
中国の名ペアスケーターから技術を学んだ知られざるエピソード
実は木原龍一選手は、以前のパートナーとペアを組んでいた時代、ツイストリフトを苦手としていました。
どのように改善すればよいか頭を悩ませていた木原選手が取った行動は、中国のベテランペアスケーター張昊(ハオ・ジャン)選手への直談判です。
中国はペア競技の伝統的な強豪国であり、張昊選手は長年にわたって世界トップレベルで活躍した名手でした。
木原選手が「ツイストリフトを教えてほしい」と申し出ると、張昊選手は快く承諾してくれたといいます。
「ここだと狭いから」と、直後に札幌市で開催された冬季アジア大会の終了後に時間を取り、技術指導を行ってくれました。
国を超えた選手同士の交流と学び合いが、木原選手のツイストリフト技術を根底から変えたのです。
この経験があったからこそ、後に三浦選手と組んだ際に衝撃的な相性を発揮できたともいえるでしょう。
りくりゅうのツイストリフトの高さはなぜ驚異的なのか
りくりゅうのツイストリフトを語る上で、最も多くの人が驚くのは三浦璃来選手が到達する高さです。
この驚異的な高さは偶然の産物ではなく、2人の身体的特性と技術が組み合わさった結果として生まれています。
三浦璃来の到達点は3メートル超という圧倒的な滞空力
りくりゅうのトリプルツイストリフトでは、木原選手が三浦選手を投げ上げた際の到達点が3メートルを超えると報じられています。
この高さは、テレビ中継で見ても他のペアとの違いが一目でわかるほどの差があります。
三浦選手の身長は146cmと小柄ですが、だからこそ空中での回転が速く、滞空時間も十分に確保できるのです。
滞空時間が長いということは、空中姿勢を美しく保つ余裕が生まれ、結果としてジャッジからの高い評価にもつながります。
実際に、りくりゅうのツイストリフトはGOE(出来栄え点)で常に高い加点を獲得しており、高さが採点に直結していることがわかります。
身長差28cmが生み出す理想的な投げ上げとキャッチの力学
木原龍一選手の身長は174cm、三浦璃来選手は146cmで、2人の身長差は28cmあります。
ペアスケートにおいて、男性と女性の体格差は技の質に大きく影響する要素です。
木原選手のしっかりとした上半身の力で三浦選手を投げ上げ、小柄な三浦選手が空中で素早く回転して降りてくる。
この一連の動作が、28cmの身長差によって非常にスムーズに機能しているのです。
投げ上げる側にとっては、パートナーの体重が軽いほど高く投げやすくなりますが、単に軽ければよいわけではありません。
女性側の跳び上がる力、タイミングの合わせ方、そして降りてくる際の体幹の安定感まで含めた総合的な相性が求められます。
りくりゅうの場合、2019年の初トライアウトの時点からこの相性が抜群に合っていたことが、大きなアドバンテージとなりました。
スピードと高さのバランスが他のペアと異なるポイント
ツイストリフトの高さだけを追求すれば、滑走スピードを落として力を溜めるアプローチも考えられます。
しかしそれでは、演技全体の流れが途切れ、ジャッジからの評価が下がってしまう可能性があるのです。
元ペアスケーターの識者は、りくりゅうのツイストリフトについて「スピードと高さのバランスがとても良い」と評しています。
つまり、滑走のスピードを落とさずに、圧倒的な高さを実現している点が他のペアとの大きな違いなのです。
プログラム全体を通して自然な流れの中にツイストリフトが組み込まれているため、技術的な難しさを感じさせない美しさがあります。
この「難しいことを簡単に見せる力」こそが、りくりゅうの最大の武器といえるでしょう。
ツイストリフトでレベル4を獲得する条件と難しさ
ツイストリフトの採点において、最高評価であるレベル4の獲得は、世界トップクラスのペアでも簡単にはいきません。
どのような条件を満たせばレベル4に到達できるのか、そして実際の試合でレベルが変わる理由について解説します。
レベル1からレベル4まで何が求められるのか
フィギュアスケートのツイストリフトには、国際スケート連盟(ISU)が定めたレベル判定基準が存在します。
レベルは1から4まであり、数値が大きくなるほど多くの条件を満たす必要があります。
主な判定要素には、女性の空中での回転の質と高さ、キャッチの方法と安定性、男性の腕の位置、空中姿勢の美しさなどが含まれています。
| レベル | 主な条件の概要 |
|---|---|
| レベル1 | 基本的なツイストリフトの完成 |
| レベル2 | 空中姿勢やキャッチの質が一定水準に達する |
| レベル3 | 複数の加点要素(高さ・キャッチ位置など)を満たす |
| レベル4 | ほぼ全ての加点要素を高い水準で実行する |
レベル4を獲得するためには、投げ上げの高さ、空中での回転速度と姿勢の美しさ、キャッチの正確性、そして一連の動作が流れるような滑らかさを持つことなど、複数の要件をほぼ完璧に満たさなければなりません。
世界トップクラスのペアであっても、試合ごとにレベル3とレベル4を行き来するケースは珍しくないのです。
りくりゅうがレベル4を取れる試合と取れない試合の違い
りくりゅうのトリプルツイストリフトは、ミラノ五輪の団体戦やショートプログラムではレベル4を獲得しています。
一方で、個人戦のフリーではレベル3の判定でした。
レベルが変わる要因はさまざまですが、試合当日のコンディション、氷の状態、プログラム内での技の順序、さらには直前の技の出来が心理面に与える影響なども関係してきます。
フリーはショートプログラムよりも演技時間が長く、全11のエレメントをこなす体力配分も重要になります。
注目すべきは、レベル3であってもGOEで大きな加点を得られれば、総合的な得点では十分に高い水準を維持できるという点です。
実際にミラノ五輪のフリーでは、レベル3ながらGOE2.12点の加点がつき、合計7.82点を獲得しました。
常にレベル4を狙うだけでなく、安定した演技で確実に加点を積み上げる戦略もまた、りくりゅうの強さの一因です。
出来栄え点(GOE)で大量加点を得られる理由
りくりゅうのツイストリフトが高得点を記録する最大の秘密は、基礎点だけでなくGOEで常に大きな加点を獲得している点にあります。
GOEはマイナス5からプラス5の範囲でジャッジが評価し、技の出来栄えによって基礎点に加算もしくは減算されます。
りくりゅうの場合、ジャッジが高評価をつけるポイントが複数重なっています。
まず、3メートルを超える到達高さは、ジャッジの目にも明確に映る加点要素です。
次に、投げ上げからキャッチまでの一連の動作が非常にスムーズで、力みや危なっかしさを感じさせません。
さらに、ツイストリフトの前後の流れがプログラム全体と自然につながっているため、「プログラムの中に溶け込んだ技」として高く評価されるのです。
こうした複合的な要素が重なることで、安定して高いGOEを獲得できるメカニズムが成り立っています。
りくりゅうのツイストリフトで失敗はあったのか?過去のミスと克服の歴史
どれほど完成度の高い技でも、失敗やミスの歴史なくして今の姿はありません。
りくりゅうのツイストリフトもまた、苦手意識や試合でのアクシデントを乗り越えて現在の完成形に至っています。
木原龍一がかつてツイストリフトを苦手としていた時代
前述の通り、木原龍一選手は三浦璃来選手とペアを組む以前、ツイストリフトに苦手意識を抱いていました。
以前のパートナーとのペア時代には、どう改善すればよいか頭を悩ませる日々が続いていたといいます。
ペアスケートにおいてツイストリフトは必須エレメントであり、避けて通ることはできません。
この苦手意識が、中国の名選手・張昊選手への直談判というアクションにつながり、技術的な基盤が作られました。
苦手を自覚し、国を超えて学びに行く姿勢こそが、のちの飛躍の土台となったのです。
ミラノ五輪ショートプログラムでのリフト失敗と5位発進の真相
2026年ミラノ・コルティナ五輪のペア・ショートプログラムで、りくりゅうにまさかの出来事が起こりました。
冒頭のトリプルツイストリフト自体は軽やかに決めたものの、別のリフトで乱れが生じ、得点は73.11点にとどまりました。
首位との差は6.90点、順位は5位。
世界王者として臨んだ五輪での予想外の出遅れに、木原選手は「もう全部終わっちゃったな」と絶望したと後に語っています。
演技後も涙が止まらない木原選手の姿が報じられ、ファンの間にも動揺が広がりました。
しかし、この失敗はフリーでの歴史的な演技へとつながる重要な伏線となったのです。
失敗を乗り越えてフリーで完璧な演技を見せた精神力
ショートプログラムの失敗から一夜明けた翌日、りくりゅうは別人のような姿でリンクに立ちました。
三浦選手は「いつもは龍一君が引っ張ってくれるけど、今回は私がお姉さんになって支えていた」と振り返っています。
木原選手もまた「璃来が力強く引っ張ってくれた。
そのおかげで気持ちを戻すことができた」と、パートナーへの感謝を口にしました。
フリー演技の冒頭、映画「グラディエーター」の重厚な旋律とともに披露されたトリプルツイストリフトは、圧倒的な高さと安定感を見せつけるものでした。
続く3回転トウループからの3連続ジャンプシークエンス、スロー3回転ルッツ、スロー3回転ループと、全てのエレメントをノーミスで完遂。
フィニッシュの瞬間、木原選手は男泣きし、三浦選手も涙を浮かべながら歓喜の抱擁を交わしました。
ショートプログラムでの失敗があったからこそ、フリーでの完璧な演技がより一層際立ったといえるでしょう。
ミラノ五輪で見せた圧巻のツイストリフトと世界最高得点の内訳
2026年ミラノ・コルティナ五輪のペア・フリーで、りくりゅうはフリー世界歴代最高得点となる158.13点を記録しました。
この得点がいかに突出したものであったか、ツイストリフトを含む全エレメントの採点詳細から読み解いていきます。
フリー158.13点の技術点に占めるツイストリフトのスコア詳細
りくりゅうのフリー158.13点は、技術点82.73点と演技構成点75.40点の合計で構成されています。
冒頭で披露されたトリプルツイストリフトのスコアは、基礎点5.70点にGOE2.12点が加算されて合計7.82点でした。
この得点は11あるエレメントの中で5番目に高い数値であり、冒頭の技として演技全体の勢いをつける役割を十分に果たしています。
なお、最も高い得点を記録したのは、3回転トウループを起点とした3連続ジャンプシークエンスの12.00点で、基礎点10.80点にGOE1.20点が加算されたものです。
リフト3種類の合計は26.09点に達しており、リフト技術全般がりくりゅうの大きな得点源となっていることがわかります。
全11エレメントで平均GOE1.84点を叩き出した演技の全貌
りくりゅうのフリー演技で特筆すべきは、全11エレメントの基礎点合計62.50点に対して、GOE合計が20.23点にも達した点です。
1エレメントあたりの平均GOEは約1.84点。
これは全ての技に対してジャッジが高い評価をつけたことを意味しており、ミスがなかっただけでなく、一つ一つの技の完成度が極めて高かったことを示しています。
演技構成点についても、3つの評価項目(構成・表現・スケーティングスキル)の全てで、9人のジャッジ全員が9点以上をつけるという異例の高評価でした。
他のペアとの比較では、2位のジョージアペアの技術点76.28点、3位のハンガリーペアの75.50点に対し、りくりゅうは82.73点と圧倒的な差をつけています。
技術点だけで6点以上の差がつくというのは、ペア競技において極めて大きなアドバンテージです。
SP5位から6.90点差を逆転した五輪史上最大の逆転劇
現行の採点方式が導入された2006年トリノ五輪以降、ペア競技のショートプログラムからフリーで逆転優勝した最大点差は5.80点でした。
りくりゅうは6.90点差をひっくり返し、この記録を塗り替える五輪史上最大の逆転劇を演じたのです。
合計得点は231.24点で自己ベストも更新しています。
この逆転劇の要因は、フリーの演技が圧倒的だっただけではありません。
りくりゅうは今大会の団体戦と個人戦で合計4回の演技をフルに行い、そのうち3回で自己ベストを更新するという驚異的な安定感を見せました。
一方で、男子シングルでは団体戦と個人戦をフルに戦った選手が個人戦でパフォーマンスを落とすケースもあり、ハードな日程の中で調子を上げ続けたりくりゅうの底力が際立ちました。
りくりゅうのツイストリフトがすごいと言われる理由を専門家はどう見ているか
りくりゅうのツイストリフトに対する「すごい」という評価は、ファンだけでなく、解説者やコーチといった専門家からも寄せられています。
技術面、表現面、そして総合的な完成度について、具体的にどのような評価を受けているのかを見ていきましょう。
米NBC解説者が絶賛した技術・遂行力・芸術性の三拍子
ミラノ五輪のペア・フリーを中継した米放送局NBCの解説では、りくりゅうの演技に対して惜しみない賛辞が送られました。
「圧倒的な自信に満ちあふれていた」「ためらいがまるでなかった」と、前日のショートプログラムからの激変ぶりに注目しています。
特に印象的だったのは「技術、遂行力、そして芸術性。
その3つすべてが揃っていた。
まさに驚嘆すべきスケーティングだ」という評価です。
冒頭のトリプルツイストリフトから最後のコレオシークエンスまで、一つの物語のように完結した演技が、国境を超えて高い評価を得たことがわかります。
元ペアスケーターが語るスピードと高さの絶妙なバランス
日本のペアスケート経験者である識者も、りくりゅうのツイストリフトの質の高さを評価しています。
特に「スピードと高さのバランスがとても良い」という指摘は、ツイストリフトの本質的な難しさを理解した上での評価といえるでしょう。
さらに「プログラム全体を通して自然と難しい技をやってのける」という点が、りくりゅうの真のすごさだと語られています。
難易度の高い技をプログラムの文脈の中に自然に溶け込ませることで、技術的な凄みと芸術的な美しさを両立させているのです。
ツイストリフト単体の高さや回転だけでなく、プログラム全体の完成度に貢献している点が、専門家から高く評価されるポイントとなっています。
海外コーチが最高評価に値すると認めたリフトの完成度
海外の著名コーチからは、りくりゅうのリフト技術全般について「プラス6のGOEに値する」との評価が報じられています。
GOEの最高値はプラス5であるため、この表現は「採点の上限を超えるほどの完成度」という最大級の賛辞です。
圧倒的なスピードの中で実行される芸術的なリフトは、技術的な正確さだけでなく、見る者の感情を動かす力を持っていると評されました。
ツイストリフトに限らず、りくりゅうはフリー演技で3種類のリフトを披露し、そのいずれもがレベル4を獲得。
リフト3種の合計得点は26.09点に達しており、他のペアが追いつくことが難しい圧倒的なリフト技術がりくりゅうの武器であることを、数字が証明しています。
ツイストリフトの進化で達成したゴールデンスラムと今後の展望
りくりゅうは、ミラノ五輪の金メダルをもって、フィギュアスケート界で最も権威ある称号の一つである「ゴールデンスラム」を達成しました。
ツイストリフトの進化とともに歩んできたペアの歩みは、ここで一つの到達点を迎えています。
世界選手権・四大陸・GPファイナル・五輪金を制覇した偉業の全容
ゴールデンスラムとは、国際スケート連盟(ISU)主催の世界選手権、四大陸選手権(もしくは欧州選手権)、グランプリファイナルの3大会を全て制覇した上で、冬季オリンピックの金メダルを獲得することを指します。
日本のフィギュアスケート界では、男子シングルの羽生結弦さんに続き、りくりゅうが史上2組目の達成者となりました。
2019年のペア結成からわずか7シーズンで、世界の全主要タイトルを手にしたことになります。
この偉業は、ツイストリフトをはじめとするペア技術の飛躍的な向上なくしては実現し得なかったものです。
かつて苦手だったツイストリフトが今では代名詞となり、それが世界一のペアへと導いたという物語は、多くの人の心を打つものとなっています。
肩の脱臼を乗り越えたぶっつけ本番の五輪という背景
りくりゅうのミラノ五輪には、もう一つ知っておくべき背景があります。
2025年12月の全日本選手権で、三浦璃来選手が肩を脱臼する負傷を負い、フリーの演技を欠場しました。
その後の回復を経て五輪に臨みましたが、全日本のフリー以降は実戦の場がなく、ミラノ五輪がいわば「ぶっつけ本番」の状態だったのです。
ツイストリフトは男性が女性を投げ上げる技であり、肩への負担が大きい動作を含んでいます。
三浦選手の肩の状態が万全かどうかは、本番を迎えるまで不安要素の一つだったと考えられます。
しかし結果的には、団体戦から個人戦まで4回の演技を全てこなし、そのうち3回で自己ベストを更新。
怪我を乗り越えてなお進化し続ける姿が、金メダルの価値をさらに高めるものとなりました。
りくりゅうのツイストリフトは今後さらに進化するのか
ミラノ五輪でフリー世界歴代最高得点を記録したりくりゅうですが、技術的にはまだ成長の余地があるとする見方も存在します。
海外の著名コーチは、りくりゅうは技術的にさらに高いスコアを出すことが可能だと指摘しています。
ツイストリフトに関しても、フリーではレベル3だった場面があり、レベル4を安定して獲得できるようになれば、基礎点がさらに上積みされます。
三浦選手は24歳、木原選手は33歳。
年齢的な課題はあるものの、経験と信頼関係を積み重ねてきた2人だからこそ、さらなる進化が期待できるでしょう。
2019年のトライアウトで始まった2人の物語が、ミラノの氷上で新たな歴史を刻んだことは間違いありません。
今後の競技人生でどのような演技を見せてくれるのか、フィギュアスケートファンの注目は続きます。
まとめ:りくりゅうのツイストリフトが世界最高峰と称される理由
- りくりゅうのツイストリフトとは、三浦璃来選手と木原龍一選手によるトリプルツイストリフトのことで、ペア結成のきっかけとなった原点の技である
- 2019年のトライアウトで初めて合わせた際、三浦選手の驚異的な跳躍力に木原選手が衝撃を受け、ペア結成を決意した
- 木原選手は以前ツイストリフトを苦手としていたが、中国の名選手・張昊から直接技術指導を受けて克服した
- 三浦選手の到達高さは3メートル超で、身長差28cmの体格バランスが理想的な投げ上げとキャッチを実現している
- 採点ではレベル1〜4の判定とGOE(出来栄え点)で評価され、りくりゅうはレベル4を獲得できる実力を持つ
- ミラノ五輪フリーではトリプルツイストリフトで基礎点5.70+GOE2.12=7.82点を獲得した
- フリー全体の世界歴代最高得点158.13点のうち、GOE合計は20.23点に達し、全エレメントの完成度の高さを示した
- ショートプログラム5位から6.90点差を逆転した五輪史上最大の逆転金メダルである
- 米NBC解説者は「技術・遂行力・芸術性の3つが全て揃っていた」と絶賛し、海外コーチもGOE最高値を超える評価に値すると認めた
- 今回の金メダルで羽生結弦さん以来のゴールデンスラムを達成し、日本ペア史上初の五輪金メダルという歴史的偉業を成し遂げた

