フィギュアスケート・ペアの三浦璃来と木原龍一からなる「りくりゅう」は、NHK杯を舞台に数々のドラマを生み出してきました。
2019年のデビュー戦から2024年の激闘まで、NHK杯での成績はりくりゅうの成長そのものを映し出しています。
初出場で5位入賞を果たした衝撃、2022年大会での圧倒的な優勝、腰椎分離症による欠場の苦難、そして2024年大会での結成以来初の珍しいミス。
さらに2025-2026シーズンではNHK杯こそ不出場だったものの、GPシリーズ2連勝からGPファイナル制覇、そしてミラノ・コルティナ五輪でのフリー世界歴代最高得点による大逆転金メダルへとつなげました。
この記事では、りくりゅうのNHK杯における全成績を年別に振り返りながら、技術分析やライバル比較、そしてミラノ五輪の金メダルに至るまでの軌跡を網羅的に解説していきます。
りくりゅうとNHK杯の歩み|ペア結成からの全成績一覧
りくりゅうは2019年夏のペア結成以降、NHK杯に計3回出場し、優勝1回・2位1回・5位1回という成績を残しています。
加えて2023年は怪我による欠場、2025年はGPシリーズのアサイン(大会割り振り)の関係で不出場となりました。
NHK杯はGPシリーズの中でも日本開催の特別な大会であり、りくりゅうにとって国内ファンの前で演技を披露できる貴重な機会です。
以下の表に、年別の成績をまとめました。
| 年度 | 開催地 | SP順位・得点 | 合計得点 | 最終順位 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019年 | 札幌 | — | — | 5位 | 国際大会デビュー戦 |
| 2022年 | 東京 | 1位・78.25点 | 優勝 | 1位 | GP2大会連勝、NHK杯初制覇 |
| 2023年 | 大阪 | — | — | 欠場 | 木原の腰椎分離症のため |
| 2024年 | 東京(代々木) | 1位・71.90点 | 209.45点 | 2位 | フリーでの珍しいミスが響く |
| 2025年 | 大阪(門真) | — | — | 不出場 | アサインでフランス大会・スケートアメリカに割り振り |
2019年NHK杯デビュー戦で5位入賞した衝撃とは
りくりゅうの国際大会デビューは、2019年11月のNHK杯(札幌)でした。
ペア結成からわずか約3か月という異例の早さで臨んだこの大会で、5位入賞という結果を残しています。
当時の三浦は「また最下位か」と覚悟していたと語っており、結成直後の2人の雰囲気は周囲から「お葬式みたい」と言われるほど硬いものだったと報じられています。
しかし蓋を開けてみれば、結成間もないペアとしては異例の好成績でした。
指導にあたるブルーノ・マルコット・コーチは結成当初から「世界トップを狙える」と2人のポテンシャルを見抜いており、このデビュー戦がその確信を裏付ける結果となったのです。
このNHK杯を起点にりくりゅうの快進撃が始まり、わずか数年後には世界の頂点へ駆け上がることになります。
2022年NHK杯で初優勝を果たした圧巻の演技内容
2022年のNHK杯で、りくりゅうは圧倒的な強さを見せつけて初優勝を飾りました。
SPでは78.25点という当時の世界歴代5位に相当する高得点を叩き出し、2位に13.63点もの大差をつけて首位発進しています。
フリーでも安定した演技を披露し、合計スコアで文句なしの優勝を達成しました。
この大会はGPシリーズ第2戦のスケートカナダに続く連勝でもあり、日本人同士のペアとしてはGPファイナルへの初進出が確定した歴史的な瞬間でもあります。
リフトではグループ4リフトで最高難度のレベル4を獲得するなど、技術面の充実ぶりが際立ちました。
海外の選手からも「夢のチームだ」「すごいスコアだった」と称賛の声が寄せられ、りくりゅうが世界のトップペアとして認められた大会となっています。
2023年NHK杯を欠場した理由と木原の腰椎分離症
2023年のNHK杯(大阪)は、りくりゅうにとって出場が叶わなかった大会です。
欠場の理由は、木原龍一が「腰椎分離症」と診断されたことにありました。
日本スケート連盟が正式に発表したもので、同シーズンのGPシリーズ第1戦スケートアメリカも同様に欠場しています。
腰椎分離症とは、腰の骨の一部に亀裂が入る疾患で、スケーターにとって致命的ともいえる怪我です。
2022-2023シーズンに世界選手権・四大陸選手権・GPファイナルの年間グランドスラムを達成した直後だっただけに、この欠場はファンにとって大きな衝撃でした。
木原自身も復帰への焦りと闘いながら治療に専念し、翌シーズン以降の復活劇へとつなげていくことになります。
2024年NHK杯でSP首位から逆転され2位に終わった原因
2024年のNHK杯(東京・代々木)では、りくりゅうはSPで71.90点をマークして首位発進したものの、フリーで逆転されて総合2位という結果に終わりました。
合計209.45点に対し、優勝したジョージアのメテルキナ・ベルラワ組は213.05点で上回っています。
フリーで最も大きく響いたのは、ペアスピン中に木原が氷の溝にはまって回転が抜けてしまうというミスでした。
木原は「2人で組んで初めてのミス。
珍しいよねと話した」と振り返っており、さらにスロージャンプにもミスが重なっています。
1年7か月ぶりの国内大会だったこの試合で、本来の実力を発揮しきれなかった悔しさは残りましたが、同時に今後に向けた課題が明確になった大会でもありました。
2025年NHK杯に出場しなかったのはなぜか
2025年のNHK杯(大阪・門真)にりくりゅうが出場しなかった理由は、怪我ではなく戦略的なアサインの結果です。
GPシリーズでは各選手が2大会に割り振られる仕組みとなっており、りくりゅうは第1戦フランス大会と第5戦スケートアメリカにアサインされました。
三浦本人も「本当はNHK杯に自国グランプリなので出たかったが、拠点がカナダなので時差調整が難しい」とコメントしています。
ファンの間では「五輪シーズンだから早めに調整を優先したのだろう」「GPファイナルが名古屋開催なのでそちらに照準を合わせた」と理解する声が多く見られました。
実際に、フランス大会とスケートアメリカで2連勝を達成し、GPファイナルでは3年ぶりの優勝を果たしています。
NHK杯を経由しないルートでもシーズンの流れをしっかり作り上げた点に、チームとしての成熟ぶりがうかがえます。
NHK杯での採点と技術を徹底分析|りくりゅうの強みはどこにあるのか
りくりゅうの最大の強みは、リフトやスロージャンプで積み上げる出来栄え点(GOE)の高さにあります。
NHK杯の歴代スコアを追うと、2019年のデビュー時から2022年の優勝時、さらに2024年の大会に至るまで、着実に得点力が向上してきた過程が明確に読み取れます。
この章では、技術面の特徴を掘り下げて解説していきます。
スロージャンプとリフトで稼ぐ出来栄え点の秘密
りくりゅうの演技で特に高い評価を受けているのが、スロージャンプとリフトの2つの要素です。
スロージャンプとは、男性が女性を投げ上げて空中で回転させ着氷させる技のことで、りくりゅうは飛距離と高さの両方に優れ、着氷後にスピードが落ちない点が専門家から高く評価されています。
リフトについては、グループ4リフトで安定してレベル4を獲得し続けており、コーチのマルコット氏も「芸術的なリフトはGOE+6(最高点)に値する」と述べています。
ミラノ五輪のフリーでは、技術点に含まれるGOEだけで20.23点を稼いでおり、仮に1つのエレメントでミスが出ても他の要素の加点で十分にカバーできる構成力がりくりゅうの大きな武器です。
小柄な体格が不利にならない理由と海外からの評価
ペア競技では男女ともに大柄な選手が有利とされる傾向がありますが、りくりゅうはこの常識を覆しています。
木原の身長は175cm、三浦は146cmで、他国のトップペアと並ぶと体格差が際立ちます。
ミラノ五輪の表彰式では各国選手との身長の違いが話題になったほどです。
しかし三浦の小柄さは、むしろリフトやツイストリフトでの空中姿勢の美しさにつながっていると一般的に評価されています。
軽量であることが技の回転速度や高さにプラスに作用し、木原も片手リフトの安定性やスローイングの力強さで世界トップクラスの技術を持っています。
海外メディアからは「体格差を感じさせないダイナミックさ」と称賛され、日本のペア競技に対する認識を大きく変えた存在として注目を集めています。
NHK杯における歴代スコアの推移と成長の軌跡
NHK杯での得点推移は、りくりゅうの成長を端的に示しています。
2019年のデビュー時は5位にとどまるスコアでしたが、2022年にはSPで78.25点という世界歴代級の高得点を記録し、3年間で飛躍的な成長を遂げました。
2024年大会ではSP71.90点・合計209.45点で2位となり、ミスがなければ220点台を狙えるポテンシャルを見せています。
特筆すべきは演技構成点(PCS)の上昇です。
結成当初は技術面の評価が先行していましたが、シーズンを重ねるごとに表現力やスケーティングスキルの評価も上がり、すべての項目で9点台を獲得する試合が増えてきました。
NHK杯を一つの定点観測として見ると、りくりゅうが技術と表現の両面で進化してきた道のりがよくわかります。
りくりゅうがNHK杯で優勝した2022年大会を振り返る
2022年のNHK杯は、りくりゅうが国内大会で初めて頂点に立った記念すべき大会です。
SPで世界歴代5位の高得点を記録し、フリーでも安定した演技で優勝を決めたこの大会は、日本のペア競技史に新たなページを刻みました。
演技の内容だけでなく、印象的な場面の数々がファンの記憶に深く残っています。
SP世界歴代5位の高得点で首位発進した舞台裏
SPでの78.25点は、当時の世界歴代5位にランクする驚異的なスコアでした。
2位との点差は13.63点で、まさに独走状態での首位発進です。
冒頭のトリプルツイストから入り、サイドバイサイドのジャンプ、そしてリフトまで、すべてのエレメントで高いGOEを獲得しています。
この演技は、NHK杯のペア競技において日本人ペアが到達した最高到達点を示すものでした。
会場のファンも演技終了と同時にスタンディングオベーションで祝福し、りくりゅうにとっても大きな自信につながった一夜となっています。
キスアンドクライで見せた笑顔とGPファイナル進出決定の瞬間
採点を待つ場所であるキスアンドクライでの光景も、この大会の象徴的なシーンでした。
高得点がスコアボードに表示された瞬間、2人とマルコット・コーチが歓喜の表情を見せ、その笑顔がテレビ中継を通じて多くの視聴者の心をつかんでいます。
この優勝によってGPシリーズ2大会連勝が確定し、日本人同士のペアとして初めてGPファイナルへの進出が決まりました。
キスアンドクライでの自然体のリアクションは、りくりゅうの人間味あふれるキャラクターをファンに印象づけた場面でもあり、以降の人気拡大に大きく寄与しています。
海外選手やメディアが寄せた称賛の声
2022年NHK杯での圧勝は、海外のスケート関係者からも大きな注目を集めました。
同大会に出場していた海外のペアからは「夢のチームだ」「すごいスコアだった」といった称賛の声が寄せられたと報じられています。
海外メディアでも「日本フィギュアスケート界の歴史を塗り替え続けるペア」として取り上げられ、りくりゅうの国際的な知名度が一気に高まるきっかけとなりました。
この時期を境に、りくりゅうはGPファイナル、四大陸選手権、世界選手権と主要大会を次々と制覇していくことになり、2022年NHK杯はその快進撃の起爆点として位置づけられています。
2024年NHK杯の珍事とは|結成以来初のミスが起きた真相
2024年のNHK杯は、りくりゅうにとって1年7か月ぶりの国内大会復帰戦でした。
SPでは71.90点で堂々の首位発進を見せたものの、フリーで結成以来初となる珍しいミスが発生し、合計209.45点の2位に終わっています。
この大会で何が起きたのかを詳しく見ていきます。
フリーのスピン中に氷の溝にはまった前代未聞のアクシデント
フリーで最大の痛手となったのは、ペアコンビネーションスピンの最中に起きた前代未聞のアクシデントです。
木原のブレードが氷面の溝にはまり、回転が途中で抜けてしまいました。
このミスについて木原は「2人で組んで初めてのミス」と語っており、ペア結成以来5年以上にわたって一度も起きたことのないトラブルでした。
スピンの評価が大幅に下がった影響は得点に直結し、さらに続くスロージャンプでもミスが連鎖しています。
氷の状態という予測できない要因が重なった不運な出来事でしたが、こうした経験がその後のシーズンでの対策や精神的な成長につながっていきます。
敗戦後のインタビューで語った前向きなコメントの全容
試合後のインタビューで、りくりゅうは一貫して前向きな姿勢を見せていました。
木原は演技直後にミスを悔やむ仕草を見せていたものの、記者の取材に対しては「もったいないが、いい勉強になった」と冷静に振り返っています。
三浦も「ミスが出ても崩れることなく集中を取り戻すことができた」と及第点を与えており、敗戦の中にも収穫を見出す姿勢がうかがえました。
NHK杯はGPファイナル進出がかかる大会でもありましたが、2人はスケートアメリカでの優勝ポイントと合わせてファイナル出場圏内を確保しています。
このインタビューでの前向きなやり取りは、りくりゅうの精神的な成熟度を示すものとして多くのメディアに取り上げられました。
優勝したジョージアペアとの実力差はあったのか
2024年NHK杯を制したメテルキナ・ベルラワ組(ジョージア)は、合計213.05点でりくりゅうを約3.6点上回りました。
ただし、この点差はりくりゅうのミスによるもので、ノーミスであれば逆転は十分に可能な範囲だったと考えられています。
メテルキナ・ベルラワ組は当時20歳前後の若手ペアで、急成長によりりくりゅうに肉薄する存在になっていました。
りくりゅう側もこのライバルの台頭を歓迎する姿勢を見せており、「新しい好敵手がいることで自分たちも成長できる」というニュアンスのコメントが報じられています。
実力差というよりも、この大会に限ってはミスの有無が明暗を分けたと言えるでしょう。
NHK杯を経てミラノ五輪で金メダルへ|SP5位からの史上最大の逆転劇
2025-2026シーズンのりくりゅうは、NHK杯こそ不出場でしたが、GPシリーズ2連勝、GPファイナル優勝と完璧な流れを作り、ミラノ・コルティナ五輪に臨みました。
SPでまさかの5位に沈むも、フリーで世界歴代最高得点を叩き出して大逆転で金メダルを獲得。
現行採点方式では史上最大の逆転劇として語り継がれることになった、この一連のドラマを振り返ります。
ショートでリフトを失敗した原因とコーチの魔法の言葉
2026年2月15日のSPで、りくりゅうは73.11点の今季ワーストとなり、首位から6.90点差の5位に沈みました。
原因は中盤のリフトで木原が三浦を持ち上げる際、右手から両手に持ち替えるタイミングで左手が握れずバランスを崩したことです。
マルコット・コーチも「スローモーションで見直さないといけないほど珍しいミス」と驚きを隠せなかったと報じられています。
このリフト1つのミスだけで自己ベストから約マイナス6点の影響があったとの分析があり、木原はSP後に「絶望しかなかった。
心が折れてしまった」と語っていました。
しかし翌日のフリーに向けて、マルコット・コーチは「昨晩を理解するな。
分析もするな。
フリーに集中しろ」という言葉を2人に伝えています。
この魔法の言葉が、歴史的な逆転劇のスイッチを入れることになりました。
フリー世界歴代最高158.13点の演技で何が完璧だったのか
2月16日のフリーで、りくりゅうは158.13点というペア・フリースケーティングの世界歴代最高得点を更新しました。
合計231.24点で2位のジョージアペアに9.49点差をつける圧勝での金メダルです。
全エレメントがノーミスの完璧な演技で、減点は0でした。
冒頭のトリプルツイストから始まり、3連続ジャンプ、2度のスロージャンプをすべて成功させています。
SPでミスが出たリフトでは雪辱を果たし、複数のジャッジが出来栄えの最高評価を付与しました。
終盤のコレオシークエンスまでスピードが落ちることなく、技術点に含まれるGOEだけで20.23点を獲得しています。
この6.90点差の逆転は、2006年トリノ五輪以降の現行採点方式において、ペア種目で史上最大の逆転として記録されることになりました。
日本のフィギュアスケート・ペア種目において初めてのオリンピックメダルであり、それが金メダルという快挙です。
NHK中継の解説が「宇宙一」と叫び視聴者が号泣した理由
ミラノ五輪のペアフリーはNHK総合で生中継され、解説を務めたのは元ペア五輪代表の高橋成美氏でした。
高橋氏は木原の元ペアパートナーでもあり、ペア競技の開拓者として知られる人物です。
りくりゅうの演技中は「なんてきれいなんでしょう。
素晴らしいです」を連発し、演技終了後には「すごい!すごい!すごい!」と8回にわたって叫んでいます。
さらに「この演技は宇宙一です」「こんな最高の気分に合う日本語なんて思いつかない」という言葉が飛び出し、SNS上では「解説にもらい泣きした」「同意しかない」「言葉のチョイスが秀逸」と大きな反響が広がりました。
一方で「感情的で気が散る」という少数の声もあり、解説スタイルについては賛否両論が見られたことも事実です。
しかし全体としては、ペア競技への深い愛情と理解に裏打ちされた解説が多くの視聴者の感動を増幅させたと言えるでしょう。
NHK杯のりくりゅうにまつわる名場面と裏話
NHK杯でのりくりゅうは、演技以外の場面でも数多くの印象的なエピソードを残しています。
会場でのファンサービスや大会後のやり取りなど、2人の人柄が伝わるエピソードはファンの間で語り草になっています。
NHK杯の会場で話題になったドーモくんとの記念撮影エピソード
NHK杯はNHKが主催する大会ということもあり、会場にはNHKのマスコットキャラクターであるドーモくんが登場するのが恒例です。
りくりゅうがドーモくんと一緒に記念撮影をした様子はSNSを中心に話題となり、試合の緊張感とは打って変わったリラックスした表情が多くのファンを和ませました。
こうした大会ならではの和やかな光景は、NHK杯が日本のフィギュアスケートファンにとって特別な大会である理由の一つでもあります。
りくりゅうのフレンドリーな人柄がうかがえるこのエピソードは、競技面だけでない2人の魅力を伝える一コマとして親しまれています。
大会後のインタビューで明かされた二人の信頼関係
NHK杯の大会後に行われるインタビューでは、りくりゅうの信頼関係が垣間見えるやり取りが毎回注目されてきました。
2人は9歳の年齢差がありながら敬語を使わず、「龍一くん」「璃来ちゃん」と呼び合う関係です。
2024年NHK杯のフリーでミスが出た際も、三浦が木原を笑顔で励ます姿が印象的でした。
試合前にはマリオカートや桃太郎電鉄などのゲームで対戦して気分を盛り上げるのが「りくりゅう流」だと報じられており、こうした自然体の関係がリンク上のシンクロ率の高さにつながっていると一般的に言われています。
インタビューでの2人のかけ合いは、ファンにとっても毎回の楽しみの一つとなっています。
表彰式やエキシビションで見せたファンサービスの数々
NHK杯の表彰式やエキシビション(EX)でも、りくりゅうはファンの心をつかむパフォーマンスを見せてきました。
2024年NHK杯では2位ながらもエキシビションで笑顔満開の演技を披露し、久しぶりの日本での演技を存分に楽しむ姿が多くの観客を魅了しています。
カナダを拠点としているため日本のファンの前で滑る機会は限られており、NHK杯のエキシビションはファンとの貴重な交流の場でもあります。
表彰式では他国の選手とも和やかに交流する姿が見られ、ミラノ五輪の表彰台でも銅メダルのドイツペアとの間で笑いを誘うハプニングがあったと報じられています。
こうした場面の一つ一つが、りくりゅうの人気をさらに高める要因になっています。
りくりゅうのライバルたち|NHK杯で激突した強豪ペア比較
りくりゅうが世界の頂点に立った背景には、厳しい競争を繰り広げたライバルペアの存在があります。
NHK杯やGPシリーズで直接対決してきた強豪たちとの比較から、りくりゅうの立ち位置をより明確に理解することができます。
メテルキナ・ベルラワ組はなぜ2024年NHK杯で勝てたのか
ジョージアのメテルキナ・ベルラワ組は、2024年NHK杯でりくりゅうを破った唯一のGPシリーズ大会の勝者です。
合計213.05点で優勝した要因は、りくりゅうのフリーでのミスに加えて、メテルキナ・ベルラワ組自身がシーズンを通じて急成長していたことにあります。
当時20歳前後の若手ペアでありながら、安定したジャンプとリフトで高い技術点を獲得し、りくりゅうの調子が落ちた隙を逃しませんでした。
ミラノ五輪では銀メダル(合計221.75点)を獲得しており、りくりゅうとの差は9.49点でした。
銀メダル獲得後に「(りくりゅうの演技は)本当に素晴らしい」と語っており、互いにリスペクトし合う関係が築かれています。
イタリアやドイツの急成長ペアとのスコア差を比較
りくりゅうの主なライバルは、メテルキナ・ベルラワ組だけではありません。
以下の表は、2025-2026シーズンの主要大会における上位ペアとのスコア比較です。
| ペア名 | 国 | GPファイナル合計 | ミラノ五輪合計 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 三浦・木原(りくりゅう) | 日本 | 225.21点(1位) | 231.24点(金) | FS世界歴代最高 |
| メテルキナ・ベルラワ | ジョージア | — | 221.75点(銀) | ジョージア冬季五輪初メダル |
| コンティ・マチー | イタリア | 223.28点(2位) | — | GPファイナルでりくりゅうと1.93点差 |
| ハーゼ・ボロディン | ドイツ | — | 銅メダル | 今季FS自己ベストがりくりゅうと5.98点差 |
GPファイナルではイタリアのコンティ・マチー組がわずか1.93点差に迫っており、地元イタリア開催のミラノ五輪では強力なライバルとなりました。
ドイツのハーゼ・ボロディン組も着実に力をつけており、ペア競技全体の競争レベルが上がっていることがわかります。
ロシア勢不在の影響と現在のペア勢力図
現在のペア競技の勢力図を語る上で避けて通れないのが、ロシア勢のISU主催大会からの除外です。
ロシアは長年にわたりペア競技の最強国として君臨しており、不在の影響は小さくありません。
実際にミラノ五輪後、ロシアの元五輪王者がりくりゅうのフリー158.13点について「やりすぎだ」と批判したことが報じられています。
一方で、銀メダルと銅メダルを獲得したペアは「彼らは得点に値する」と反論しており、りくりゅうの実力が正当に評価されていることを裏づけています。
ロシア勢がいない中での金メダルという見方もありますが、りくりゅうの世界歴代最高得点は、過去にロシア勢が出していたスコアをも上回る水準です。
誰が出場していたとしても勝利に値する演技だったと言えるでしょう。
りくりゅうの今後とNHK杯の展望|日本ペア競技の未来
ミラノ五輪での金メダル獲得により、りくりゅうは五輪・世界選手権・GPファイナル・四大陸選手権のすべてを制覇する生涯グランドスラムを達成しました。
フィギュアスケート・ペア競技の歴史に名を刻んだ2人の今後と、日本ペア競技全体の展望について考察します。
五輪金メダル後の現役続行はあるのか
りくりゅうの今後について、現時点で引退の発表はありません。
木原は33歳というペアスケーターとしてはベテランの年齢に達しており、今後のキャリアについてはさまざまな可能性が考えられます。
三浦は24歳で年齢的にはまだ競技の盛期にあり、仮にペアを続けるとしてもパフォーマンスの維持は十分に可能な段階です。
五輪金メダルという最高の結果を手にした後にどのような選択をするのか、ファンの関心は非常に高く、今後の発表が注目されています。
後輩ペア「ゆなすみ」のNHK杯での台頭と成長
りくりゅうがNHK杯に不出場だった2025年大会では、長岡柚奈・森口澄士組(愛称「ゆなすみ」)がSP・FS両方で自己ベストを更新し、合計202.11点で4位入賞を果たしています。
銅メダルまでわずか1.69点差という僅差で、表彰台に手が届く位置まで成長しました。
りくりゅうが世界の頂点で戦い続けることで、日本のペア競技全体の底上げが進んでいることを示す結果です。
NHK杯はこうした若手ペアが国際大会での経験を積む場としても重要な意味を持っており、今後の大会でも日本ペアの活躍が期待されます。
りくりゅうが切り拓いた日本ペア新時代の意味
りくりゅう以前の日本のペア競技は、オリンピックでの最高成績が7位であり、メダルはおろか表彰台すら遠い存在でした。
しかし2022年北京五輪での7位入賞と団体戦銀メダルを皮切りに、2023年の世界選手権年間グランドスラム、そして2026年ミラノ五輪での金メダルと、日本ペア競技の常識を次々と塗り替えてきたのがりくりゅうです。
NHK杯はその成長過程を日本のファンが直接目撃できた舞台であり、2019年のデビューから2022年の優勝に至る軌跡は、日本のペア競技が世界と戦えることを証明する道のりでもありました。
カナダを拠点としながらも日本のファンとNHK杯を通じてつながり続けたりくりゅうの存在は、後に続く選手たちにとっても大きな道標になっています。
まとめ:りくりゅうのNHK杯全成績から見える軌跡と金メダルへの道
- りくりゅうはNHK杯に計3回出場し、優勝1回・2位1回・5位1回の成績を残している
- 2019年NHK杯がペア結成後初の国際大会で、わずか3か月で5位入賞を果たした
- 2022年NHK杯ではSP世界歴代5位の78.25点を記録し、圧倒的な強さで初優勝を達成
- 2023年は木原の腰椎分離症により欠場し、2025年はアサインの関係で不出場だった
- 2024年NHK杯ではフリーのスピン中に氷の溝にはまる結成以来初の珍しいミスが発生した
- スロージャンプとリフトでのGOE(出来栄え点)の高さがりくりゅう最大の武器である
- 小柄な体格を不利とせず、むしろリフトの空中姿勢の美しさに転換している点が海外でも評価されている
- ミラノ五輪ではSP5位から6.90点差を覆し、フリー世界歴代最高158.13点で逆転金メダルを獲得した
- NHKの五輪中継での解説が「宇宙一」と称したことがSNSで大きな反響を呼んだ
- 後輩ペア「ゆなすみ」の成長も含め、りくりゅうが切り拓いた日本ペア新時代は確実に次世代へ受け継がれている

