「りくりゅう」というフレーズを目にして、いったい何のことだろうと思った方も多いのではないでしょうか。
ミラノ・コルティナ五輪での金メダル獲得を機に、この4文字は日本中で大きな話題となりました。
しかし、愛称の由来や呼び方のルール、いつから使われているのか、そもそも誰がつけたのかといった疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、フィギュアスケートのペア競技における「りくりゅう」というコンビ名の意味と成り立ちを、二人の出会いから五輪制覇までの軌跡とあわせて詳しく解説していきます。
「りくりゅう」の由来は二人の名前の組み合わせ
璃来(りく)と龍一(りゅういち)から生まれた愛称の意味
「りくりゅう」は、フィギュアスケートのペア競技で活躍する三浦璃来選手と木原龍一選手の愛称です。
三浦選手の下の名前「璃来(りく)」と、木原選手の下の名前「龍一(りゅういち)」の頭文字を組み合わせたものが由来となっています。
二人の名前をつなげた4文字は語感のやわらかさもあり、ファンの間で瞬く間に定着しました。
ポケモンや潜水艦の名前のようだという反応もSNSでは見られますが、れっきとしたフィギュアスケート界のペア愛称です。
なぜ苗字ではなく下の名前が使われているのか
バドミントンの「オグシオ」や「タカマツ」のように苗字を組み合わせるスポーツもありますが、フィギュアスケートのカップル競技では事情が異なります。
ペアやアイスダンスは二人で一つの演技を完成させる競技であり、個人同士の親密さや一体感を象徴するために、下の名前から愛称を作る慣習が根付いています。
苗字よりもファーストネームを使うことで、二人の深い信頼関係やパートナーシップが自然と伝わってくるのが特徴です。
毎日新聞でも2021年の時点で「りくりゅうは選手のファーストネームが由来」と解説されています。
女性が先に来る呼び方のルールとその理由
フィギュアスケートのペア競技では、組の名称を「女性→男性」の順で表記するのが国際的なルールです。
愛称もこの順番に準じており、女性の名前を先に、男性の名前を後に配置して作られます。
「りくりゅう」も三浦璃来の「りく」が先、木原龍一の「りゅう」が後という構成です。
同じミラノ五輪に出場した長岡柚奈・森口澄士組が「ゆなすみ」、アイスダンスの吉田唄菜・森田真沙也組が「うたまさ」と呼ばれているのも、すべて同じルールに則っています。
りくりゅうの愛称はいつから使われ始めたのか
2019年のペア結成発表が愛称誕生のきっかけ
「りくりゅう」という呼び方が最初に世に出たのは、2019年8月5日のことです。
木原選手が所属する木下グループから新ペア結成が正式に発表され、この時点で愛称として「りくりゅう」が使われていたことがWikipediaの記録にも残っています。
ペア結成からわずか3か月後のグランプリシリーズNHK杯に初出場し、フィギュアファンの間で少しずつ認知が広がっていきました。
北京五輪での躍進で一般層にも浸透した経緯
2022年の北京五輪が、愛称の知名度を一気に押し上げた転機となりました。
団体戦ではショートプログラム4位、フリー2位の好演技で日本の銀メダル獲得に大きく貢献し、「りくりゅう」がX(旧Twitter)のトレンド1位を獲得する場面もありました。
個人戦でも日本代表として史上初となるペア7位入賞を果たし、フィギュアスケートにそれほど詳しくない層にもこの愛称が広く知られるようになったのです。
ミラノ五輪の金メダルで再び注目された理由
2026年2月のミラノ・コルティナ五輪で金メダルを獲得すると、「りくりゅう」の4文字は再び爆発的な注目を集めました。
SNS上では「新しい潜水艦の名前かと思った」「ユーチューバーの名前だと思っていた」といった投稿が相次ぎ、日刊スポーツが愛称の由来を解説する記事を掲載するほどの社会現象となっています。
フィギュアスケートの枠を超えて、日本中がこのコンビ名に注目した瞬間でした。
りくりゅうという呼び方は誰がつけたのか
公式命名ではなくファンとメディアの間で自然発生
「りくりゅう」を誰がつけたのかという疑問を持つ方は多いですが、特定の人物や組織が正式に命名したわけではありません。
フィギュアスケートのカップル競技では、ペアを組んだ時点でファンやメディアが自然と下の名前を組み合わせた愛称で呼び始める文化が定着しています。
「りくりゅう」もこの慣例に沿って、結成発表前後にファンコミュニティやSNSで自然発生的に生まれた呼び方だと考えられています。
木下グループの結成発表時にはすでに使用されていた
2019年8月5日、木下グループが新ペア結成を発表した際には、すでに「りくりゅう」という愛称が添えられていました。
このことから、正式発表までの間にファンやメディアの間で愛称が固まり、所属団体もそれを自然に採用したという流れがうかがえます。
つまり、公式が命名したというよりは、ファン発のコンビ名を公式側が追認した形に近いといえるでしょう。
フィギュアスケート界特有のコンビ名文化との関係
フィギュアスケートのペアやアイスダンスでは、二人で一組という競技の性質上、コンビ名で呼ぶことが他のスポーツよりも強く定着しています。
「かなだい」(村元哉中・高橋大輔)や「チームココ」(小松原美里・小松原尊)など、現役・引退を問わず多くのペアが独自の愛称を持っているのが特徴です。
こうした文化があったからこそ、「りくりゅう」という呼び方もペア結成と同時にごく自然に誕生したのです。
フィギュアスケートのペア愛称の命名ルールとは
下の名前型・苗字型・言葉遊び型の三つのパターン
日本のスポーツ界で使われるペア愛称には、大きく分けて三つの命名パターンが存在します。
| パターン | 命名の方法 | 代表例 |
|---|---|---|
| 苗字型 | 苗字の頭文字を組み合わせる | オグシオ、タカマツ |
| 下の名前型 | ファーストネームを組み合わせる | りくりゅう、かなだい |
| 言葉遊び型 | つなげると別の単語になる | ワタガシ(渡辺+東野→綿菓子) |
フィギュアスケートのカップル競技は、二人の親密さを強調する「下の名前型」が主流です。
一方、バドミントンでは苗字を使う「苗字型」が最も一般的で、競技ごとに慣習が異なる点も興味深いところでしょう。
りくりゅう以外の主なペア愛称一覧と比較
フィギュアスケート界には、「りくりゅう」以外にも多くのペア愛称が存在します。
| 愛称 | 選手名 | 種目 | 命名の特徴 |
|---|---|---|---|
| りくりゅう | 三浦璃来・木原龍一 | ペア | 下の名前を女→男の順に |
| かなだい | 村元哉中・高橋大輔 | アイスダンス | 下の名前を女→男の順に |
| ゆなすみ | 長岡柚奈・森口澄士 | ペア | 下の名前を女→男の順に |
| うたまさ | 吉田唄菜・森田真沙也 | アイスダンス | 下の名前を女→男の順に |
| チームココ | 小松原美里・小松原尊 | アイスダンス | 旧名ティモシー・コレトに由来 |
| りかしん | 紀平梨花・西山真瑚 | アイスダンス | 下の名前だが別名も併存 |
基本的には「女性→男性」の順でファーストネームを取るルールが共通していますが、「チームココ」のように例外も存在します。
「オグシオ」から続く日本スポーツ界のペア愛称の歴史
日本のスポーツ界でペア愛称が広く浸透するきっかけとなったのは、バドミントン女子ダブルスの「オグシオ」(小椋久美子・潮田玲子)です。
全日本総合5連覇の実績と圧倒的な人気を背景に、苗字を組み合わせた4文字の愛称が社会現象になりました。
その後、リオ五輪金メダルの「タカマツ」、東京五輪金メダルの「じゅんみま」(卓球)など、ペア愛称の文化は競技の垣根を越えて広がっています。
「りくりゅう」のミラノ五輪での金メダルによって、この系譜に新たな歴史が刻まれたといえるでしょう。
りくりゅうペア結成の運命的な経緯と由来に込められた絆
引退寸前だった木原龍一に三浦璃来が声をかけた理由
「りくりゅう」というペアが生まれた背景には、二人それぞれの苦しい時期がありました。
木原選手は高橋成美、須崎海羽と二人のパートナーを経ていましたが、戦績は伸び悩み、28歳頃まではアルバイトをしながら競技を続ける生活を送っていました。
引退すら頭をよぎっていたそのタイミングで、市橋翔哉とのペアを解消したばかりの三浦選手が声をかけたのです。
二人の共通の知人であるアイスダンス元五輪代表の小松原美里選手が「龍一くんって、すごくいい人だよ」と橋渡しをしたことも、結成の重要なきっかけとなりました。
初めて一緒に滑った日に「カミナリが落ちた」衝撃の出会い
2019年7月末、三浦選手の希望で名古屋のスケートリンクにてトライアウトが行われました。
初めて二人で滑った木原選手は「今までやってきた中で、別次元。
カミナリが落ちた、じゃないけど、自分がやりたいことが実現できるんじゃないか」と衝撃を受けたと語っています。
三浦選手も「お互いが求めているタイミングで投げられるパートナーだった」とコメントしており、スケーティングの相性は結成当初から抜群だったことがわかります。
「もう彼女しかいない」という木原選手の確信が、「りくりゅう」というペアを誕生させた瞬間でした。
カナダを拠点にした7年間の歩みとコーチの存在
ペア結成後、二人はカナダ・オークビルに練習拠点を移し、名伯楽として知られるブルーノ・マルコットコーチの指導を受けています。
マルコットコーチは演技におけるスピードを最重要ポイントとして掲げ、二人のシンクロ性とダイナミックなエレメンツの精度を磨き上げてきました。
結成からミラノ五輪まで約7年。
言葉の壁や生活環境の変化を乗り越えながら、「りくりゅう」は着実に世界のトップへと駆け上がっていったのです。
ミラノ五輪で金メダルを獲得するまでの軌跡
ショートプログラム5位からの五輪史上最大の逆転劇
2026年2月のミラノ・コルティナ五輪では、ショートプログラムで73.11点の5位と大きく出遅れました。
首位との差は6.90点あり、木原選手は「もう終わったと思った」と泣きじゃくったと報じられています。
しかし、翌日のフリースケーティングでは一転して完璧な演技を披露し、ペア競技の五輪史上最大の逆転劇を演じてみせました。
フリー当日の公式練習でもミスを連発していた木原選手を、三浦選手が精神的に支えたことが大逆転の原動力となっています。
木原選手は「基本的に僕がリードすることが多いけど、今回は璃来ちゃんがサポートしてくれた。
これが7年間の絆」と感謝の言葉を述べました。
フリー世界歴代最高得点158.13点の内訳と凄さ
フリースケーティングで記録した158.13点は、ペアのフリーにおける世界歴代最高得点です。
内訳は技術点82.73、演技構成点75.40、そして減点は0という完璧な内容でした。
技術面のミスが一切なく、リフトやジャンプで大きな加点を積み上げたことが、この驚異的なスコアを生み出した要因です。
ブルーノ・マルコットコーチは演技後、「2人のつながりが本当に伝わってきて、純粋な魔法のようだった」と興奮気味に語っています。
日本フィギュア界ペア初の金メダルが持つ歴史的意義
合計231.24点での優勝は、日本のフィギュアスケート界において複数の歴史的記録を打ち立てました。
まず、ペア種目での五輪メダル獲得自体が日本勢として史上初の快挙です。
さらに、フィギュアスケート全体としても2006年トリノ五輪の荒川静香、2014年ソチと2018年平昌で連覇した羽生結弦に続く、日本人4例目の金メダルとなりました。
1924年シャモニー大会から102年にわたり欧州勢を中心に争われてきた種目で、アジアのペアが頂点に立った意義は計り知れません。
りくりゅうの強さを支える技術と信頼関係の秘密
30センチの身長差と9歳の年齢差が武器になる理由
木原選手が175センチ、三浦選手が145センチという約30センチの身長差は、ペア競技においてむしろ大きなアドバンテージとなっています。
身長差があることでリフトやスロージャンプのダイナミックさが際立ち、観客やジャッジに強い印象を与えることができるためです。
また、9歳の年齢差もマイナスには働いていません。
木原選手の豊富な経験と三浦選手の若さが相互に補完し合い、技術面でも精神面でもバランスの取れたパートナーシップを築いています。
スピードを重視したコーチの指導方針と練習内容
ブルーノ・マルコットコーチの指導の根幹にあるのは、スピードへの徹底的なこだわりです。
リフトやジャンプの技術だけでなく、スケーティング全体のスピード感を高めることで演技のダイナミズムが増し、加点をより多く獲得できるようになります。
三浦選手のきゃしゃな体型を補うために脚力強化に特化したトレーニングが行われ、木原選手もペア転向後に15キロ以上の増量を果たすなど、肉体面での改造にも取り組んできました。
こうした地道な積み重ねが、世界歴代最高得点を叩き出す土台となっているのです。
試合前のゲーム対戦やお互いの呼び方に見る独特の関係性
「りくりゅう」の強さは、リンク上の技術力だけでなく、リンクを離れた場面での関係性にも表れています。
二人は9歳の年齢差がありながら敬語を使わず、「龍一くん」「璃来ちゃん」と呼び合う間柄です。
試合前にはマリオカートや桃太郎電鉄で対戦しながら緊張をほぐすのが恒例行事となっています。
以前、二人の関係性を尋ねられた木原選手が「オジさんと少女ですかね」と答えたところ、三浦選手が間髪入れず「やだ、気持ち悪い」とツッコんだエピソードは、漫才のような掛け合いとして広く知られています。
こうした自然体のコミュニケーションが、演技中の阿吽の呼吸を生み出しているといえるでしょう。
りくりゅうに関連して話題になった派生ワードと海外の反応
表彰台の抱っこルーティンから生まれた「木原運送」とは
ミラノ五輪の金メダル表彰式で、木原選手が三浦選手の腰をひょいと持ち上げて表彰台に乗せ、セレモニー後には抱きかかえて降ろす場面が大きな反響を呼びました。
この一連の動作はファンの間で以前から「木原運送」と呼ばれていましたが、五輪の金メダル表彰台で披露されたことで地上波テレビでも紹介される社会現象にまで発展しています。
韓国メディアでも「人形みたいでかわいい」と報じられ、表彰式で他国のペアが真似する場面も見られたほどです。
ディズニーキャラに似ていると世界で話題になった理由
年齢差9歳、身長差約30センチという「りくりゅう」の凸凹感が、ディズニー映画「ズートピア」に登場するニックとジュディのペアに似ていると国内外のSNSで話題になりました。
偶然にも、三浦選手がフィギュアスケートを始めたきっかけは「スケートをするディズニーのアニメを見たこと」であり、ディズニーとの不思議な縁が注目を集めています。
五輪後に贈られたご当地デザートのティラミスも、イタリア語で「私を元気づけて」「私を引き上げて」という意味を持つことから、「逆転劇にぴったりのデザート」として話題を呼びました。
海外メディアや解説者が絶賛した具体的なコメント
「りくりゅう」の金メダルに対する海外からの反応は非常に大きなものでした。
米国NBCの解説者は「実に見事だったし、美しかった」と脱帽のコメントを残し、ISU(国際スケート連盟)の公式アカウントも「ショータイム」と称賛しています。
ニューヨーク・タイムズ紙は二人の演技写真を「非現実的」と表現して選定し、世界中のファンからも「歴史に残る瞬間」「鳥肌が立った」「この五輪のハイライト」といった絶賛のコメントが相次ぎました。
団体戦の段階から海外記者の間では「顎が床まで落っこちた」という驚きの声が上がっており、ミラノ五輪を通じて「りくりゅう」は世界的な知名度を獲得したといえるでしょう。
りくりゅうの由来に関するよくある質問まとめ
りくりゅうの二人は付き合っているのか
二人の交際関係について、本人たちからの公式な発表は行われていません。
互いに「龍一くん」「璃来ちゃん」と呼び合う親密な関係性や、演技中の息の合ったアイコンタクトから交際を推測する声はファンや海外メディアの間でも多くあります。
米国のメディアでも「2人のケミストリーが憶測を呼ぶ」と報じられていますが、あくまで競技上のパートナーという立場が公式見解です。
りくりゅう以前の木原龍一の歴代パートナーは誰か
木原選手はもともと男子シングルの選手で、2013年にペア競技へ転向しました。
最初のパートナーは高橋成美選手で、2014年のソチ五輪に出場しています。
続いて須崎海羽選手と組み、2018年の平昌五輪に出場しましたが、いずれも戦績は大きく伸びませんでした。
高橋成美選手は現在解説者としても活躍しており、「りくりゅう」の金メダルについて「日本ペアが代々紡いできた歴史の結実」と語っています。
りくりゅうの次世代となる日本ペアは存在するのか
ミラノ五輪では「りくりゅう」と同じペア種目に、長岡柚奈・森口澄士組(愛称:ゆなすみ)が日本代表として出場しました。
この若い世代のペアが国際舞台で経験を積み始めており、日本のペア競技の選手層は着実に厚みを増しています。
また、アイスダンスでは紀平梨花・西山真瑚組(愛称:りかしん)が注目を集めるなど、「りくりゅう」が切り開いた道を後進が追いかける構図が生まれつつあります。
木原選手は現在33歳であり今後のキャリアに注目が集まっていますが、日本のカップル競技全体の未来は明るいといえるでしょう。
まとめ:りくりゅうの由来を知れば応援がもっと楽しくなる
- 「りくりゅう」は三浦璃来の「りく」と木原龍一の「りゅういち」を組み合わせた愛称である
- フィギュアスケートのカップル競技では下の名前から女性→男性の順で愛称を作る慣習がある
- 特定の人物が命名したわけではなくファンとメディアの間で自然発生した呼び方である
- 2019年8月の木下グループによるペア結成発表時にはすでに使用されていた
- 北京五輪での躍進を経てミラノ五輪の金メダルで愛称の知名度が爆発的に拡大した
- ペア結成のきっかけは引退寸前だった木原に三浦が声をかけたトライアウトである
- カナダでブルーノ・マルコットコーチの指導のもと7年間にわたり技術を磨き上げた
- ミラノ五輪ではSP5位からフリー世界歴代最高得点158.13点で大逆転の金メダルを獲得した
- 「木原運送」やディズニーキャラとの類似など派生的な話題も国内外で大きな反響を呼んでいる
- 日本スポーツ界の「ペア愛称」は「オグシオ」を元祖とし「りくりゅう」がその系譜に新たな歴史を刻んだ

