かつてインターネット検索を利用していると、必ずと言っていいほど上位に表示されていた「NAVERまとめ」。
あらゆるジャンルの情報を手軽に閲覧できるサイトとして一世を風靡しましたが、2020年9月30日をもってサービスを終了しました。
「NAVERまとめはなぜ消えたのか?」という疑問を持つ方に向けて、その背景には複合的な要因が絡み合っていたことを解説します。
この記事では、サービス終了に至った決定的な理由や、当時「検索の邪魔」と言われてしまった背景、そして現在アーカイブを閲覧する方法について詳しく紹介します。
かつての巨大プラットフォームが辿った歴史を知ることは、現在のWeb情報の正しい見極め方や、信頼できる情報源を探すためのヒントになるはずです。
NAVERまとめはなぜ消えたのか?サービス終了に至った3つの決定的理由
日本最大級のキュレーションサイトとして君臨していたNAVERまとめが、なぜ消滅することになったのでしょうか。
その理由は単一のものではなく、時代の変化とともに生じたいくつかの大きな要因が重なった結果と言えます。
ここでは、サービス終了を決定づけた主な3つの理由について解説します。
LINE公式が発表した「市場環境の変化」と「選択と集中」とは
運営元のLINE株式会社(当時)は、サービス終了の理由として「市場環境の変化」とグループ全体における「選択と集中」を挙げています。
2009年のサービス開始から約11年が経過し、インターネットを取り巻く環境は大きく変わりました。
スマートフォンが普及し、ユーザーの情報収集手段がGoogle検索などの検索エンジンだけでなく、SNSや動画プラットフォームへと多様化したことが背景にあります。
また、LINEグループとしては、メッセンジャーアプリや決済サービス、AI事業など、より成長が見込める分野へリソースを集中させる経営判断が必要でした。
単独サービスとしての今後の成長性と維持コストを天秤にかけた際、終了という決断に至ったのが公式の見解です。
Google検索アルゴリズムのアップデートによるSEO流入の激減
事実上の最大の要因と言われているのが、Google検索アルゴリズムのアップデートによる検索流入の激減です。
NAVERまとめは、そのドメインパワーの強さから、あらゆるキーワードで検索上位を独占していました。
しかし、Googleは2016年から2017年にかけて、コンテンツの品質や信頼性をより重視するアルゴリズムの改修を頻繁に行うようになります。
特に、医療や健康などの生活に重大な影響を与える「YMYL(Your Money or Your Life)」領域において、信頼性の低いサイトの順位を下げる「健康アップデート」などが実施されました。
これにより、専門家ではない一般ユーザーが作成したまとめ記事の検索順位は大幅に下落します。
検索からの流入に依存していたビジネスモデルであったため、PV(ページビュー)数の減少は収益に直結し、サイト運営の継続を困難にさせました。
著作権侵害問題の深刻化とキュレーションサイトへの法的・社会的圧力
もう一つの無視できない要因が、著作権侵害に関する問題の深刻化です。
NAVERまとめは、ネット上の画像や文章を引用して構成する仕組みでしたが、その多くが適切な引用要件を満たしていない「無断転載」であるとの批判が絶えませんでした。
2016年末、DeNAが運営していた医療情報サイト「WELQ」が、不正確な情報発信と著作権侵害により炎上し、社会問題化したことが大きな転換点となります。
この騒動をきっかけに、キュレーションサイト全体に対する社会的な監視の目が厳しくなりました。
著作権者からの削除要請や発信者情報開示請求が増加し、法的リスクへの対応コストが増大したことも、サービス継続を断念する一因となったのです。
NAVERまとめが「害悪」「検索の邪魔」と言われてしまった背景
サービス終了が発表された際、惜しむ声がある一方で、「やっと消えてくれた」「嬉しい」といった厳しい意見も多く見られました。
なぜこれほどまでに、一部のユーザーから嫌悪感を抱かれてしまったのでしょうか。
その背景には、プラットフォームの構造的な問題と、検索体験を損なう状況がありました。
無断転載・パクリ記事の温床となっていた構造的な問題
NAVERまとめは、誰でも簡単に記事を作成できる手軽さが売りでしたが、それが無断転載を助長する構造になっていました。
他人のブログやSNSに掲載された写真やテキストを、自分のコンテンツのように貼り付けるだけで記事が完成してしまいます。
本来、引用には厳格なルールが存在しますが、多くの作成者はそれを遵守せず、単なるコピー&ペーストで大量の記事を量産していました。
一次情報を発信するクリエイターやブロガーからすれば、苦労して作ったコンテンツを勝手に使われ、収益まで横取りされる形となります。
このような構造が「パクリ記事の温床」と批判され、クリエイター層からの強い反感を買っていました。
検索上位を独占することに対するユーザーの不満と「検索汚染」
多くのユーザーが不満を感じていたのが、いわゆる「検索汚染」と呼ばれる状況です。
調べ物をしようとGoogleで検索すると、検索結果の1ページ目がNAVERまとめの記事で埋め尽くされていることが珍しくありませんでした。
しかし、その中身を開いてみると、ネット上の情報を切り貼りしただけで独自の見解がなく、情報の裏付けも取れていない薄い内容の記事が散見されました。
「何かを調べても、結局NAVERまとめが出てきて、知りたい情報にたどり着けない」という経験をした人は少なくありません。
質の低い情報が検索上位を占拠することで、ユーザーの利便性を著しく損ねていたことが、「邪魔」「害悪」と言われる主な理由です。
サービス終了時に「嬉しい」という批判的な声が挙がった理由
2020年のサービス終了時には、SNSなどで「嬉しい」「ざまぁ」といったネガティブな反応が相次ぎました。
これは、前述した無断転載被害に遭っていた権利者や、検索ノイズにうんざりしていたユーザーの積年の不満が爆発した形です。
また、「いかがでしたかブログ」と揶揄されるような、結論を先延ばしにして中身のない記事スタイルの元祖とも見なされていました。
インターネットの健全化を願う層からは、NAVERまとめの終了が「悪質なバイラルメディア時代の終わり」として歓迎されたのです。
全盛期から衰退へ|NAVERまとめの歴史とPV数の推移
批判も多かったNAVERまとめですが、かつては日本のWebメディアの中で圧倒的な存在感を放っていました。
ここでは、その驚異的な成長から衰退までの軌跡を振り返ります。
月間30億PVを超えた全盛期と「まとめインセンティブ」で稼ぐ仕組み
NAVERまとめの全盛期は2015年頃とされており、当時の月間PV数は30億を超え、ユニークユーザー数は7,000万人以上に達していました。
この爆発的な成長を支えたのが、「まとめインセンティブ」という報酬システムです。
作成したまとめ記事の閲覧数に応じて、作成者に報酬が支払われる仕組みでした。
特別なスキルがなくても、話題のニュースや画像をまとめるだけでお小遣い稼ぎができるため、多くのユーザーが「まとめ職人」として活動しました。
このシステムが記事の量産を促し、圧倒的なコンテンツ量で検索流入を獲得するサイクルを生み出していたのです。
WELQ騒動以降の信頼性低下と検索順位の下落トレンド
潮目が変わったのは、やはり2016年のWELQ騒動以降です。
情報の信頼性が厳しく問われるようになり、Googleもアルゴリズムの大幅な見直しを行いました。
SEO関連の調査データによると、2017年頃を境にNAVERまとめの検索流入数は右肩下がりに転じています。
特に2018年以降のGoogleコアアップデートでは、権威性や信頼性のないサイトの評価が著しく下がり、NAVERまとめの記事は検索結果の上位から姿を消していきました。
最盛期には数十億あった月間PVも、サービス終了直前の2020年には数分の一以下まで落ち込んでいたと推測されます。
なんJなどのネットコミュニティにおける当時の反応と影響
2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の「なんJ(なんでも実況J)」などの掲示板でも、NAVERまとめは頻繁に話題に上がっていました。
掲示板の書き込みを勝手に転載してまとめ記事を作成し、収益を得る行為に対して、「アフィカス」などと強い敵対心を持つユーザーが多くいました。
NAVERまとめへの転載を禁止するローカルルールを設けたり、無断転載を見つけては運営に通報したりする活動も行われていました。
サービス終了が発表された際には、これらのコミュニティでは「勝利宣言」のような書き込みが溢れ、一つの時代の区切りとして大きな話題となりました。
削除されたNAVERまとめの過去記事をアーカイブで見る方法
サービス終了から時間が経過しましたが、当時の記事をもう一度見たいというニーズは少なからず存在します。
現在、NAVERまとめの過去記事を閲覧する方法はあるのでしょうか。
公式の閲覧機能やダウンロードサービスは完全に終了している
残念ながら、NAVERまとめ公式が提供していた閲覧機能や記事データはすべて削除されています。
サービス終了に伴い、期間限定で提供されていた記事のダウンロード機能(ブログ移行ツールなど)も現在は利用できません。
したがって、通常のURLにアクセスしても「サイトにアクセスできません」といったエラーが表示されるか、サービス終了の告知ページが表示されるのみです。
公式の手順で過去のコンテンツを復元することは不可能です。
Wayback Machine(インターネットアーカイブ)を使って過去記事を探す手順
公式には閲覧できませんが、「Wayback Machine(インターネットアーカイブ)」という外部サービスを利用すれば、過去の状態を見られる可能性があります。
これは世界中のWebサイトの過去のデータを保存しているデジタルアーカイブサービスです。
手順は以下の通りです。
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Wayback Machineのサイトにアクセスします。
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検索窓に「matome.naver.jp」と入力します(特定の記事URLがわかる場合はそのURLを入力)。
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表示されたカレンダーから、閲覧したい年(2015年~2019年頃推奨)を選択します。
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カレンダーの日付に青や緑の丸がついている箇所をクリックし、保存された時間を指定します。
これにより、当時のサイトデザインや記事の内容が表示される場合があります。
アーカイブ閲覧時に画像が表示されない等の注意点
Wayback Machineは万能ではなく、閲覧に際してはいくつかの制限があります。
まず、記事内の画像が表示されないケースが多々あります。
画像のデータサーバーまでは保存されていないことが多く、テキストは読めても画像部分はリンク切れのアイコンになっていることが一般的です。
また、サイト内の検索機能やカテゴリ移動のリンクも機能しないことがほとんどです。
あくまで「保存された特定の日時のスナップショット」を見るものであり、当時のように快適にサイトを利用できるわけではない点に注意が必要です。
NAVERまとめに代わるものはある?おすすめの代替サービス・類似サイト
NAVERまとめが消えた後、情報のまとめや発信を行いたいユーザーはどこへ移ったのでしょうか。
現在利用されている、主な代替サービスや類似サイトを紹介します。
Togetter(トゥギャッター)|Twitter(X)の反応や議論をまとめる
Twitter(現在のX)上のツイートをまとめて、文脈を持ったコンテンツを作成できるサービスです。
特定のニュースに対するネット上の反応や議論を可視化するのに適しており、NAVERまとめの代替として最も親和性が高いと言えます。
公式にNAVERまとめからの移行をサポートした実績もあり、現在も活発に利用されています。
note(ノート)|クリエイターが自身の知見や記事を発信する
文章、画像、音声、動画などを手軽に投稿できるメディアプラットフォームです。
「まとめ」というよりはブログに近い形式ですが、クリエイターが自身の知見を発信する場として定着しています。
有料記事として販売する機能もあり、質の高いコンテンツを作成して収益化したいユーザーの受け皿となっています。
Pinterest(ピンタレスト)|画像を収集・保存するブックマーク機能
Web上の画像をブックマークとして収集し、自分だけのボードを作成できるサービスです。
「画像のまとめ」という点では、NAVERまとめの画像収集機能に近い使い方ができます。
おしゃれなインテリアやファッション、レシピなどのアイデアを探すビジュアル検索エンジンとして人気があります。
はてなブックマーク|Web上の良質な記事を保存・共有する
気になったWebページをオンライン上に保存・公開できるソーシャルブックマークサービスです。
ユーザーがブックマークした記事にはコメントを付けることができ、人気の記事はランキング形式で紹介されます。
ネット上の話題を追うという意味では、NAVERまとめが担っていたキュレーションの役割の一部を果たしています。
まとめ:NAVERまとめ なぜ消えた
NAVERまとめの消滅は、Webメディアの在り方に大きな教訓を残しました。
それは、情報の「量」よりも「質」と「信頼性」が問われる時代へと完全にシフトしたということです。
キュレーション(まとめ)文化の終わりと一次情報の重要性
NAVERまとめの終了は、他人のコンテンツを切り貼りするだけの安易なキュレーション文化の終焉を象徴しています。
現在のSEOやユーザー評価においては、誰が発信しているかという権威性や、独自の一次情報が含まれているかが重要視されます。
コピペで量産されたコンテンツは淘汰され、オリジナリティのある情報こそが価値を持つようになりました。
プラットフォーム依存の収益化モデルが抱えるリスク
また、巨大プラットフォームに依存して収益を得るモデルの危うさも浮き彫りになりました。
運営会社の都合や検索エンジンのアルゴリズム変更一つで、積み上げた資産が一瞬にして無価値になるリスクがあります。
NAVERまとめの事例は、情報発信者に対し、特定の場所に依存せず、自身の信頼とコンテンツを積み上げることの大切さを教えてくれています。
最後に、NAVERまとめが消えた理由と現状について要点をまとめます。
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LINEグループの事業再編による「選択と集中」が終了の公式理由である
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Googleの検索アルゴリズム変更により検索流入が激減したことが致命傷となった
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無断転載による著作権侵害問題が深刻化し、維持コストとリスクが増大した
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WELQ騒動以降、キュレーションサイトへの社会的視線が厳しくなった
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検索結果を独占する状況が「検索汚染」と呼ばれ、ユーザーの不満を招いていた
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全盛期には月間30億PVを超えていたが、末期には大きく数字を落としていた
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公式のアーカイブ機能はなく、過去記事の閲覧にはWayback Machineが必要である
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現在はTogetterやnoteなどが情報発信やまとめの代替手段として使われている
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情報の質と信頼性が重視されるようになり、安易なコピペ文化は淘汰された
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一次情報の価値が見直され、Webコンテンツの在り方が健全化へと向かった

