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PHSなぜ消えた?サービス終了理由と病院への影響や今後の対策を解説

「ピッチ」の愛称で親しまれ、かつては多くの人が利用していたPHS。

しかし、気づけば街中で見かけることはなくなり、「なぜ消えたのか」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

低価格でクリアな音質が魅力だったPHSですが、時代の変化とともにその役割を終え、公衆サービスは完全に終了しました。

一方で、病院や工場などの特定の現場では、現在もPHSが使われ続けている実態があります。

この記事では、PHSがサービス終了に至った根本的な理由や現在の状況、そして今後どうすべきかという対策について詳しく解説します。

目次

PHSはなぜ消えたのか?サービス終了に至った3つの主な理由

一時代を築いたPHSが姿を消した背景には、明確な理由が存在します。

技術の進歩や市場環境の変化により、PHS独自の強みが失われていったことが大きな要因です。

ここでは、サービス終了に至った主な3つの理由について解説します。

携帯電話・スマートフォンの普及と料金プランの低価格化

PHSが普及した当初の最大の強みは、携帯電話に比べて端末価格や通話料金が圧倒的に安いことでした。

「安くて手軽」という特徴が、学生やビジネスパーソンに支持された大きな理由です。

しかし、携帯電話業界でも競争が激化し、多様な割引サービスや格安プランが登場するようになりました。

さらに、いわゆる「格安SIM」などの普及により、携帯電話やスマートフォンの料金は劇的に低下しました。

その結果、PHSが持っていた「価格の優位性」は失われ、多くのユーザーが機能性に優れたスマートフォンへと移行していきました。

通信速度の限界とインターネット利用ニーズの変化

PHSはもともと音声通話を主目的として開発されたシステムであり、高速なデータ通信は苦手としていました。

もちろん、データ通信カードなどのサービスも展開していましたが、その速度には限界がありました。

一方で、インターネットの利用形態はテキスト中心から、画像や動画などのリッチコンテンツへと急速に変化しました。

3G、4G、そして5Gへと進化を続ける携帯電話の通信速度に対し、PHSの通信速度では現代のWebサービスを快適に利用することが困難になりました。

ユーザーが求める「いつでもどこでも快適にネットを使いたい」というニーズに応えきれなくなったことも、PHSが選ばれなくなった要因の一つです。

安全な通信規格(4G・5G)の登場と設備の老朽化

かつてPHSが選ばれていた理由の一つに、電波出力が弱く、医療機器などへの影響が少ないという「安全性」がありました。

そのため、携帯電話の使用が制限されていた病院などでも、PHSは安心して利用できる通信手段として重宝されてきました。

しかし、携帯電話の通信規格も進化し、現在の4Gや5Gは医療機器への影響が極めて少ない安全な規格となっています。

この技術進歩により、PHSでなければならない理由は薄れていきました。

加えて、PHSの基地局や通信設備の老朽化が進み、維持管理にかかるコストが増大したことも、サービス終了を後押しする結果となりました。

PHSと携帯電話の違いとは?仕組みから見る衰退の背景

PHSと携帯電話は、どちらも移動しながら通話ができる端末ですが、その仕組みには決定的な違いがあります。

この仕組みの違いこそが、後の普及競争における勝敗を分ける要因となりました。

ここでは、技術的な視点から衰退の背景を紐解きます。

基地局のカバー範囲(マイクロセル)と電波の特性

携帯電話の基地局は「マクロセル」と呼ばれ、1つの基地局で半径数キロメートルという広範囲をカバーできます。

これに対し、PHSの基地局は「マイクロセル」と呼ばれ、カバーできる範囲は半径数百メートル程度と非常に狭いのが特徴です。

そのため、PHSで広いエリアをカバーするには、携帯電話の何倍もの数の基地局(アンテナ)を設置する必要があります。

都市部ではこの高密度な配置がトラフィック対策として有効でしたが、山間部や地方でのエリア展開には膨大なコストと手間がかかりました。

結果として、「どこでもつながる」という利便性において、携帯電話に遅れをとることになりました。

音声通話に特化した高音質とデータ通信の弱点

PHSは32kbpsのADPCMという音声符号化方式を採用しており、固定電話並みのクリアな通話品質を実現していました。

この音質の良さはPHSの大きな魅力であり、ビジネス利用などで高く評価されていました。

しかし、この仕組みは音声通話には最適でしたが、大容量のデータ通信を行うには不向きでした。

携帯電話がデータ通信の高速化に特化した技術を取り入れていく中で、PHSはその構造上、劇的な速度向上を図ることが難しかったのです。

スマートフォンの台頭によりデータ通信の重要性が増す中で、この弱点は致命的なものとなりました。

端末価格と維持コストの差がなくなった経緯

かつては「PHS=安い」「携帯電話=高い」という明確な図式がありました。

PHSは端末の構造がシンプルで製造コストが安く、基地局も簡易的なもので済むため、低価格での提供が可能でした。

しかし、携帯電話端末の大量生産や技術革新が進み、高機能な端末でも比較的安価に入手できるようになりました。

また、通信キャリアによる端末購入補助や長期契約割引などの施策により、ユーザーが負担する実質的なコスト差はほとんどなくなりました。

同じようなコストであれば、より高機能でエリアも広い携帯電話を選ぶのが自然な流れとなり、PHSの市場は縮小していきました。

PHSはまだ使える?公衆PHS終了と構内PHSの現状

「PHSはもう使えない」と思っている方も多いですが、実は一部の環境ではまだ現役で稼働しています。

公衆サービスと、特定の敷地内で使うシステムとでは状況が異なります。

ここでは、PHSの現在の利用状況について整理します。

個人・法人向けの「公衆PHS」は2023年3月末で完全終了

街中で電波を受信して通話や通信を行う「公衆PHS」サービスは、すでに終了しています。

Y!mobileが提供していたPHSの音声通話・データ通信サービスは、2021年1月末をもって終了しました。

さらに、自動販売機の管理などで使われていた法人向けの「テレメタリングプラン」も、2023年3月末にサービスを終了しました。

これにより、公衆回線を使用するPHSサービスは、名実ともにすべて終了したことになります。

現在、自宅の引き出しに眠っているPHS端末を充電しても、外で通話することはできません。

病院や工場の「構内PHS(自営PHS)」は当面利用可能

公衆サービスは終了しましたが、病院や工場、オフィスビルなどの敷地内だけで使われる「構内PHS(自営PHS)」は、現在も利用可能です。

これは、建物内に自前のアンテナ(基地局)を設置し、その電波が届く範囲内だけで内線や通話を行うシステムです。

公衆回線(通信キャリアの設備)を使わないため、サービス終了の影響を直接受けることはありません。

そのため、多くの医療現場や製造現場では、今でもスタッフ間の連絡手段としてPHSが活用されています。

構内PHSもいつかは使えなくなる?「旧スプリアス規格」の期限と問題

現在使えている構内PHSも、未来永劫使い続けられるわけではありません。

電波法関連の規則改正により、「旧スプリアス規格」に該当する無線機器は、将来的に使用できなくなる可能性があります。

当初は2022年11月末で使用期限を迎える予定でしたが、新型コロナウイルスの影響などを考慮し、現在は「当面の間」使用が認められている状態です。

しかし、あくまで猶予期間であり、いずれ移行が必要になることは確定しています。

お使いのPHS設備が新規格に対応していない場合、法令違反となるリスクがあるため、早めの確認と対策が必要です。

なぜ病院では今もPHSが使われているのか?

公衆サービスが終了した今でも、病院に行くと医療スタッフがPHSを使っている姿をよく見かけます。

なぜ、医療現場ではこれほどまでにPHSが根強く使われているのでしょうか。

その背景には、医療現場特有の事情があります。

医療機器への電波干渉が極めて少ない安全性

最大の理由は、PHSの電波出力が携帯電話に比べて非常に弱いことです。

かつての携帯電話は電波出力が強く、ペースメーカーなどの医療機器に誤作動を起こさせる懸念がありました。

一方、PHSは微弱な電波を使用するため、医療機器への干渉リスクが極めて低いとされてきました。

「患者さんの安全を第一に考える」という医療現場の指針において、PHSは最も信頼できる通信手段だったのです。

この長年の実績と安心感が、現在も利用され続けている大きな理由です。

ナースコール連携や内線システムとしての高い利便性

病院におけるPHSは、単なる通話端末ではありません。

ナースコールシステムと連動しており、患者さんがボタンを押すと担当看護師のPHSが鳴る仕組みが構築されています。

また、院内のどこにいても内線通話ができるシステムとして、業務フローに深く組み込まれています。

単に通話ができれば良いというわけではなく、こうしたシステム全体との連携が不可欠であるため、簡単に他の端末へ置き換えることが難しいのです。

現場の「慣れ」とシステム移行予算の課題

長年使い続けてきたPHSは、操作がシンプルで誰でも直感的に使えます。

多忙を極める医療現場において、新しい機器の操作をスタッフ全員が習得するには、大きな労力と時間が必要です。

また、通信システム全体を刷新するには、多額の費用がかかります。

PHSからスマートフォンや新しい無線システムへ移行する場合、端末代金だけでなく、アンテナの設置工事やシステム改修費などが発生します。

予算確保の難しさや、移行期間中の業務混乱への懸念から、現状維持を選択せざるを得ない病院も少なくありません。

構内PHSを使い続ける3つのリスクとデメリット

「まだ使えるなら、そのままで良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、終了した規格の製品を使い続けることには、無視できないリスクが潜んでいます。

ここでは、構内PHSを継続利用する場合の主なデメリットを3つ挙げます。

端末や基地局の生産終了による故障時の対応困難

PHS関連の製品需要が減ったことにより、主要メーカーはPHS端末や基地局の製造・販売を終了しています。

新品の端末を入手することは極めて困難になっており、故障した際に代替機を用意できないリスクが高まっています。

もしシステムの中枢である主装置やアンテナが故障した場合、修理部品がなく、通信手段が突然絶たれてしまう可能性もあります。

メーカーのサポートも順次終了しており、保守契約の継続が難しくなるケースも増えています。

設備の老朽化に伴う通話品質の低下と業務効率の悪化

長年使用しているPHS設備は、経年劣化により性能が低下していきます。

バッテリーの持ちが悪くなるだけでなく、電波の入りが悪くなったり、ノイズが入ったりするトラブルが増加します。

重要な連絡が聞き取れなかったり、通話が途切れてしまったりすることは、業務効率を大きく下げる要因になります。

特に、緊急時の連絡がスムーズにいかないことは、医療現場や製造現場において重大な事故につながりかねません。

中古市場の価格高騰とメンテナンスコストの増大

新品が手に入らないため、故障時の交換用端末を中古市場で探す企業や病院が増えています。

需要に対して供給が減っているため、中古端末の価格が高騰しているのが現状です。

状態の良い中古品を見つけること自体が難しくなっており、調達に多くの時間とコストがかかるようになっています。

また、古い設備を維持するためのメンテナンス費用も割高になる傾向があり、結果として新しいシステムを導入するよりもコストがかさんでしまう可能性があります。

PHS終了後の代替手段・後継サービスのおすすめ5選

PHSの継続利用に伴うリスクを回避するためには、次世代の通信システムへの移行を検討する必要があります。

現在、PHSの代わりとして導入が進んでいる主な5つの選択肢をご紹介します。

それぞれの特徴を理解し、現場に合ったものを選びましょう。

スマートフォン・法人携帯(4G/5Gは医療機器に影響しない?)

最も一般的な移行先は、スマートフォンや法人携帯です。

現在の4G(LTE)や5Gといった通信規格は、医療機器への影響が非常に小さくなるよう設計されています。

総務省の指針でも、一定の距離を保てば安全に使用できるとされており、多くの病院で導入が進んでいます。

チャットツールや電子カルテアプリなど、通話以外の機能も活用できるため、業務効率化に大きく貢献します。

スマホを内線化してコストを下げる「クラウドPBX」

クラウドPBXは、電話交換機(PBX)の機能をクラウド上に設置し、インターネット経由で通話を行うサービスです。

これを利用すれば、スマートフォンを内線電話として使うことができます。

専用のアンテナ設置工事が不要で、アプリをインストールするだけで導入できるため、初期費用を抑えられるのがメリットです。

外出先でも代表電話番号で発着信ができるため、働き方改革にも寄与します。

PHSの正統な後継規格「sXGP」

sXGPは、PHSと同じ1.9GHz帯の周波数を使用した、新しい自営通信規格です。

「PHSの後継」として開発されており、PHS同様に免許不要で自営の基地局を設置できます。

PHSの強みであった「電波干渉の少なさ」を受け継ぎつつ、スマートフォンを使用してデータ通信も行えるのが特徴です。

ナースコールとの連携もスムーズに行えるため、医療現場での置き換えとして注目されています。

Wi-Fi環境を活用する「Wi-Fiトランシーバー・インカム」

すでに整備されているWi-Fi環境を活用して通話を行う方法です。

専用のWi-Fiトランシーバーや、スマートフォンのアプリを使用します。

新たな配線工事が不要なケースが多く、低コストで導入できるのが魅力です。

1対1の通話だけでなく、複数人への一斉連絡も可能なため、チームでの連携が必要な現場に適しています。

配線不要で導入しやすい「デジタルコードレス電話機」

小規模なクリニックやオフィスであれば、デジタルコードレス電話機も選択肢に入ります。

PHSと同様に1.9GHz帯を使用するDECT方式などが主流で、Wi-Fiなどの他の機器と電波干渉しにくいのが特徴です。

親機と子機で構成され、設置が簡単で使い方も従来の電話機と変わらないため、スムーズに移行できます。

ただし、カバーできる範囲は限られるため、広大な敷地での利用には向きません。

まとめ:PHSが消えた理由を理解して適切な移行を進めよう

  • PHSが消えた主な理由は、携帯電話の低価格化とデータ通信需要への対応遅れです。

  • 公衆PHSサービスは2023年3月末ですべて終了しており、現在は使えません。

  • 構内PHS(自営PHS)は当面利用可能ですが、設備の老朽化や法令対応のリスクがあります。

  • 病院では安全性と利便性からPHSが根強く使われていますが、4G/5Gへの移行も進んでいます。

  • 古いPHSを使い続けることは、故障時の対応困難やコスト増大につながります。

  • 代替手段として、スマートフォンやクラウドPBX、sXGPなどが有力な選択肢です。

  • sXGPはPHSの特性を引き継いでおり、医療現場などでの後継として適しています。

  • スマートフォン導入は、通話だけでなく業務アプリ活用による効率化も期待できます。

  • 現場の規模や予算、必要な機能に合わせて最適な移行先を選ぶことが重要です。

  • リスクが顕在化する前に、計画的なシステム移行を検討しましょう。

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