小野田紀美氏について、2022年の参院選をめぐる「公選法違反疑惑」が報じられています。
注目されているのは、岡山市内に届け出ていた選挙事務所とは別に、岡山県瀬戸内市内の「瀬戸内事務所」が実質的な選挙事務所として使われていたのではないか、という点です。
週刊文春は2026年9月1日、小野田氏側が届け出ていなかった瀬戸内市内の事務所について、“ヤミ選挙事務所”として選挙活動に使われていた疑いがあると報じました。これに対し、小野田氏の事務所側は、その場所が選挙事務所だったという事実を否定しています。
そのため、現時点で「小野田紀美氏が公職選挙法に違反した」と確定しているわけではありません。
では、なぜ公選法違反疑惑が浮上したのでしょうか。
小野田紀美の公選法違反疑惑とは?2022年参院選で何があった?
今回の報道の舞台となったのは、2022年7月10日に投開票された参議院議員選挙の岡山県選挙区です。
岡山県選挙管理委員会が公表した選挙運動費用収支報告書の要旨にも、小野田紀美氏が自由民主党の候補者として記載されています。小野田氏の選挙運動に関する支出額は最終的に約1289万円と公表されています。
今回問題になっているのは、その選挙期間中に使われていたとされる「瀬戸内事務所」です。
小野田紀美が届け出ていた選挙事務所は岡山市内の1カ所
週刊文春の報道によると、小野田氏側が2022年参院選で正式な選挙事務所として届け出ていたのは、岡山市内にある1カ所でした。
一方で、瀬戸内市内にも「瀬戸内事務所」と呼ばれる場所があり、ここでも選挙に関する活動が行われていたのではないかと報じられています。
つまり今回の疑惑は、
「届け出た岡山市内の選挙事務所とは別に、瀬戸内市にも実質的な選挙事務所が存在し、選挙事務所が2カ所になっていたのではないか」
というものです。
ただし、瀬戸内事務所が公職選挙法上の「選挙事務所」に該当するのかについて、小野田氏側と週刊文春側の見方は一致していません。
公職選挙法では参院選挙区の選挙事務所は原則1カ所
e-Gov法令検索で確認できる公職選挙法第131条では、参議院の選挙区選出議員選挙について、候補者が設置できる選挙事務所は原則として1人につき1カ所と定められています。
また、公職選挙法第130条では、選挙事務所を設置した場合に選挙管理委員会などへ届け出ることも規定されています。
法定数を超えて選挙事務所を設置した場合については、公職選挙法第240条で30万円以下の罰金が定められています。
そのため、瀬戸内事務所が法律上も選挙事務所だったと判断されるのかどうかが、今回の公選法違反疑惑の大きなポイントになっています。
小野田紀美の「ヤミ選挙事務所」とは?瀬戸内事務所が注目された理由
今回、「ヤミ選挙事務所」という強い言葉が注目されていますが、これは公職選挙法に書かれている正式な法律用語ではなく、週刊文春が今回の疑惑を報じる際に使っている表現です。
問題になるのは呼び方よりも、瀬戸内事務所で実際にどのような活動が行われていたのかという点です。
行政の選挙運動に関する資料では、名称にかかわらず、特定候補者の選挙運動に関する事務を取り扱ったり、選挙の作戦を練ったりする場所は、実態によって選挙事務所と判断される場合があると説明されています。
瀬戸内事務所の賃料として6万1275円を支出と文春が報道
週刊文春が疑惑の根拠の一つとして報じているのが、「事務所賃料」です。
同誌によると、小野田氏の選挙運動費用収支報告書には、2022年参院選の公示日翌日となる6月23日、瀬戸内市内のA社に対して「事務所賃料」として6万1275円を支払った記載があるとされています。
岡山県選挙管理委員会が公表している収支報告書の要旨を見ると、小野田氏の第1回報告分には「家屋費」53万465円、その内訳として「選挙事務所費」44万4065円が計上されています。
週刊文春は、この選挙運動費用から瀬戸内市内の事務所賃料が支払われていたことを、疑惑を裏付ける材料の一つとして取り上げています。
公示日に「瀬戸内事務所出陣式」の動画を投稿
もう一つ注目されているのが、小野田氏側のSNS投稿です。
週刊文春によると、2022年参院選の公示日、小野田紀美事務所のSNSには「瀬戸内事務所出陣式」と題した動画が投稿され、小野田氏が支援者らと声を上げる様子が紹介されていました。
「瀬戸内事務所」という名称が実際に使われていたことに加え、公示日に「出陣式」が行われていたとされる点も、今回の報道で注目された理由になっています。
ただ、「瀬戸内事務所」という名称で呼ばれていたことや出陣式が行われたことだけで、公職選挙法上の選挙事務所だったと決まるわけではありません。
実際にそこでどのような選挙運動の事務が行われていたのかが焦点になります。
小野田紀美の瀬戸内事務所では何があった?現役市議が証言
週刊文春の報道で特に大きな材料となっているのが、2022年参院選で小野田氏を応援していた現役の瀬戸内市議らの証言です。
報道によると、瀬戸内事務所では単に支援者が集まっていただけではなく、選挙カーの運行などについて話し合っていたとする証言が出ています。
選挙カーの乗車やコースを打ち合わせたとの証言
週刊文春の取材に応じた現役市議の一人は、瀬戸内事務所で市議らが打ち合わせをしていたと説明しています。
その内容として報じられているのは、
・選挙カーに誰が乗るのか
・どこから乗車するのか
・選挙カーをどのコースで走らせるのか
・小野田氏の選挙カーと自民党の車の日程をどうするのか
といった選挙運動に関する調整です。
事務所の前には看板も出ていたとの証言も掲載されています。
応援ハガキの取りまとめをしていたとの証言も
別の現役瀬戸内市議も週刊文春に対し、その場所には瀬戸内地域の選挙活動を担当する人たちが集まっていたという趣旨の証言をしています。
さらに、選挙カーを回すことや、応援ハガキを取りまとめる作業などが行われていたとも伝えられました。
行政が公表している選挙運動の問答集では、選挙事務所は「特定の候補者の選挙運動に関する事務を取り扱う場所」とされ、名称だけではなく実態によって判断されると説明されています。
そのため、市議が証言した活動が実際にどの程度、継続的・総合的に行われていたのかが大きな論点になります。
小野田紀美側は公選法違反疑惑をどう説明している?
一方、小野田氏側は、週刊文春が指摘した瀬戸内事務所について「選挙事務所だった」という見方を否定しています。
今回の記事では、文春側の主張だけでなく、小野田氏側が何を回答しているのかも押さえておきたいところです。
小野田紀美事務所は「選挙事務所だった事実はない」と回答
週刊文春は、小野田氏の事務所へ質問状を送ったとしています。
これに対して小野田氏側は、問題となっている瀬戸内市内の事務所について、選挙事務所だった事実はないとの趣旨で回答しました。
つまり、小野田氏側は、
「瀬戸内事務所が存在していたか」
という点よりも、
「その場所が公職選挙法上の選挙事務所だったのか」
という核心部分を否定している形です。
週刊文春の記事では、市議らが事務所内で選挙カーなどの打ち合わせをしていたとする証言について、事務所側から具体的な回答は示されなかったと伝えています。
公選法違反が確定したわけではない
今回のニュースを見るうえで、「公選法違反疑惑」と「公選法違反が認定されたこと」は同じではありません。
現時点で確認できる中心的な構図は、週刊文春が瀬戸内事務所について公職選挙法違反の疑いがあると報じ、小野田氏側が「選挙事務所だった」という点を否定しているというものです。
週刊文春の記事でも、警察や検察によって今回の「ヤミ選挙事務所」疑惑が立件された、あるいは小野田氏の違反が司法判断で確定したとは報じられていません。
今後、小野田氏本人や事務所からさらに詳しい説明が出るのかも注目されます。
小野田紀美はなぜ公選法違反を疑われた?4つのポイント
小野田紀美氏の公職選挙法違反疑惑が報じられた理由は、一つの出来事だけではありません。
週刊文春の記事では、複数の事情を組み合わせて、瀬戸内事務所が実質的な選挙事務所だったのではないかと指摘しています。
1.正式に届け出た選挙事務所は岡山市内の1カ所
週刊文春によれば、小野田氏側が2022年参院選で選挙管理委員会に届け出ていた選挙事務所は、岡山市内の1カ所でした。
公職選挙法では、参院選挙区の候補者が設置できる選挙事務所は原則1カ所とされています。
2.瀬戸内市内のA社に事務所賃料6万1275円を支出
週刊文春は、小野田氏の選挙運動費用収支報告書に、公示日翌日の2022年6月23日付で瀬戸内市内のA社に6万1275円の「事務所賃料」を支払った記載があると報じています。
3.「瀬戸内事務所出陣式」というSNS投稿
公示日には「瀬戸内事務所出陣式」と題した動画が小野田紀美事務所のSNSに投稿されていたと報じられています。
4.現役市議が選挙の打ち合わせを証言
さらに複数の現役瀬戸内市議が、選挙カーの運行調整や応援ハガキの取りまとめなど、選挙に関係する活動がその場所で行われていたと週刊文春に証言しています。
この4点から、週刊文春は瀬戸内事務所について、届け出ていない実質的な選挙事務所だったのではないかと問題提起しています。
一方、小野田氏側は、その前提となる「瀬戸内事務所が選挙事務所だった」という点を否定しています。
小野田紀美のヤミ選挙事務所疑惑で今後の焦点は?
今後の焦点になりそうなのは、瀬戸内事務所の「実態」がさらに明らかになるかどうかです。
選挙事務所かどうかは名称だけで決まるものではなく、実際にどのような事務が、どの程度継続して行われていたのかがポイントになります。自治体の選挙関連資料でも、選挙運動員を指揮するなど、その場所を中心に選挙運動を行っている場合には選挙事務所と認められる場合があると説明されています。
小野田氏側が瀬戸内事務所の使い方を詳しく説明するか
現在の報道で小野田氏側から示されている主な回答は、瀬戸内事務所が選挙事務所だった事実はない、というものです。
今後、
・6万1275円の事務所賃料は具体的に何のための支出だったのか
・瀬戸内事務所ではどのような活動をしていたのか
・市議らが証言した打ち合わせをどう説明するのか
・「瀬戸内事務所出陣式」と呼んでいた場所をどのような位置付けにしていたのか
といった点について説明が追加されれば、疑惑の見え方も変わってくる可能性があります。
週刊文春は別の公選法違反疑惑も報道
週刊文春電子版は、小野田氏について今回の「ヤミ選挙事務所」疑惑だけでなく、2022年参院選をめぐるもう一つの公選法違反疑惑も報じています。
ただ、今回のヤミ選挙事務所報道で焦点になっているのは、岡山市内の届け出済み選挙事務所とは別に、瀬戸内市内の拠点が法律上も選挙事務所として扱われるような実態だったのかどうかです。
小野田紀美の公選法違反疑惑とヤミ選挙事務所で何があったのかまとめ
小野田紀美氏をめぐる公選法違反疑惑は、2022年参院選岡山県選挙区で使われたとされる「瀬戸内事務所」が発端です。
週刊文春によると、小野田氏側が正式に届け出ていた選挙事務所は岡山市内の1カ所でしたが、瀬戸内市内にも選挙活動の拠点として機能していたのではないかとされる事務所がありました。
報道では、瀬戸内市内のA社への事務所賃料6万1275円の支出、「瀬戸内事務所出陣式」と題したSNS動画、さらに選挙カーの運行や応援ハガキに関する打ち合わせをしたという現役市議の証言が紹介されています。
一方、小野田氏の事務所側は、問題の場所が選挙事務所だったという事実を否定しています。
今回報じられているのは、あくまで公職選挙法違反の「疑惑」です。
瀬戸内事務所が法律上の選挙事務所に該当する実態だったのか、小野田氏側からさらに詳しい説明が出るのかが、今後の注目点になりそうです。

