近藤心音さんが2026年8月24日にInstagramのストーリーズで、過去に経験した「世界選手権の強制棄権」や、その後の海外遠征でのいじめ、ミラノ・コルティナ五輪期間中のパワハラについて訴えたことが報じられました。
中でも気になるのが「世界選手権の強制棄権」という言葉です。
近藤さんはフリースキーの世界選手権で実際にスタートしなかった記録がありますが、FISの公式結果に「強制」と記されているわけではありません。
本人が今回使った表現と、FISや全日本スキー・スノーボード連盟の公開情報で確認できる内容には違いがあります。
近藤心音の世界選手権「強制棄権」とは何があった?
近藤心音さんは2026年8月24日のInstagram投稿で、過去の出来事として「世界選手権の強制棄権」に触れました。
スポニチアネックスやデイリースポーツが報じた投稿内容では、近藤さんは世界選手権の強制棄権とミラノ・コルティナ五輪欠場の際に誹謗中傷を受けたと説明しています。
さらに、その一部は面識のない人だけではなく、以前は友人だと思っていた選手やコーチ、トレーナーからのものだったと訴えました。
では、この「世界選手権の強制棄権」は、どの大会を指しているのでしょうか。
2025年エンガディン世界選手権で近藤心音はDNS
時系列とFISの競技記録を照らすと、近藤さんが今回触れた世界選手権は、2025年3月にスイス・エンガディンで開催されたFISフリースタイル&スノーボード世界選手権を指すとみられます。
全日本スキー・スノーボード連盟は2025年3月17日、フリースキー・スロープスタイル/ビッグエアの日本代表として近藤さんを発表していました。
FISが公開している女子フリースキー・スロープスタイル予選のスタートリストにも、近藤さんはゼッケン10、スタート順7番として名前が掲載されています。
ところが、3月19日の公式結果では近藤さんは「DNS」と記録されています。
DNSは「Did Not Start」の略で、競技をスタートしなかったことを示す表記です。FISの公式結果では、近藤さんのほかにもDNSとなった選手が記録されています。
つまり、近藤さんが代表に選ばれ、スタートリストにも入っていたものの、本番では滑走しなかったことまでは公式情報から確認できます。
近藤心音の世界選手権はなぜ強制棄権になった?
一方で、FISの公式結果に記載されているのはDNSという結果までです。
誰が棄権を決めたのか、本人の意思ではなかったのか、どのような判断や経緯があったのかといった部分は、FISの結果ページには記されていません。全日本スキー・スノーボード連盟の代表発表にも、近藤さんが出場しなかった理由までは掲載されていません。
2026年8月24日の報道で強く表面化したのが、近藤さん本人による「強制棄権」という表現です。
現時点で確認できるのは、「2025年世界選手権で近藤さんがDNSだった」という公式記録と、「本人はその出来事を強制棄権だったと表現している」という2点です。
今回の投稿では、脳しんとうに関する代表チームの研修への疑問も語られています。
デイリースポーツによると、近藤さんは代表チームの合宿で行われた脳しんとうの研修について、選手を中傷するような発言があったとして疑問を投げかけました。
ただ、報道されている投稿内容だけでは、その研修の話と2025年世界選手権の棄権理由が直接つながっているとは読み取れません。
世界選手権を棄権した理由について、脳しんとうや特定のスタッフの判断が原因だったとする詳しい説明は、今回確認したFISや連盟の公開情報には出ていません。
近藤心音は世界選手権後の海外遠征でいじめを受けたと告発
近藤さんの今回の投稿は、世界選手権の棄権だけを問題にしたものではありません。
スポニチアネックスの報道によると、近藤さんは世界選手権が終わった後の海外遠征中に、複数の選手から嫌がらせやいじめを受けていたと主張しています。
本人が挙げた内容として報じられているのは、話しかけても無視されること、集団から外されるような行為、自身の名前やSNSアカウントを載せたうえでの誹謗中傷などです。
誹謗中傷の一部は選手やコーチ、トレーナーだったと主張
近藤さんは、世界選手権や五輪欠場をめぐって受けた誹謗中傷の多くは面識のない人からだったとする一方、一部については以前から知っていた選手、コーチ、トレーナーだったと訴えています。
ただ、デイリースポーツやスポニチアネックスの報道では、近藤さんが被害を訴えていることは確認できますが、関係者側の詳しい説明や調査結果まで示されているわけではありません。
報道された範囲では具体的な選手名なども明らかにされていません。
現段階では、特定の個人と今回のいじめの訴えを結びつける公開情報は出ていません。
近藤心音が語った海外遠征はどの遠征?
全日本スキー・スノーボード連盟の公開記録では、近藤さんは2025年3月6日から4月2日まで、フランスとスイスで行われたワールドカップ、世界選手権参戦の遠征メンバーに入っていました。
2025年11月から12月にかけて行われたオーストリアや中国でのワールドカップ遠征にも近藤さんの名前があります。
ただ、近藤さんが今回「世界選手権が終わってからの海外遠征中」と表現した遠征が、公開されているどの派遣を指すのかまでは主要報道で明示されていません。
そのため、遠征名や時期を特定したうえで、そこで何があったのかまで結びつける材料は現時点では不足しています。
近藤心音への誹謗中傷はミラノ五輪欠場後にも起きていた
近藤さんは2026年のミラノ・コルティナ五輪でも、大会直前の負傷によって競技に出場できませんでした。
2月5日のスロープスタイル公式練習中に転倒して左膝を負傷。デイリースポーツなどは、前十字靱帯と内側側副靱帯の損傷に加え、半月板や骨にもダメージがあったと報じています。
近藤さんはスロープスタイルのスタート直前まで出場を目指しましたが、最終的に棄権しました。FISの競技記録でも女子スロープスタイルはDNSとなっています。
北京2022冬季五輪でも直前の右膝負傷で出場できなかったため、五輪では2大会連続で本番を滑れない結果となりました。
五輪欠場後には「次は辞退して」といった誹謗中傷も
ミラノ五輪での棄権後、近藤さんのSNSには心ないコメントが届きました。
日刊スポーツやデイリースポーツは、「もし選ばれても次は辞退してくださいね」といった趣旨のコメントが近藤さんに寄せられたことを報じています。
近藤さんは当時、自分は最後まで最大限の努力をしたと説明し、代表枠を得た選手として出場するかどうかは自分が決めることだという考えを示していました。
The Japan Timesも、五輪欠場後に近藤さんがSNS上で受けた中傷を取り上げ、アスリートへのオンライン上の攻撃に焦点を当てています。
近藤心音は五輪期間中のトレーナーによるパワハラも主張
2026年8月24日の投稿では、近藤さんはミラノ五輪期間中にフリースタイルスキーの帯同トレーナーからパワハラを受けたとも主張しています。
スポニチアネックスが報じた内容では、Instagram上で侮辱的な意味を含む英語表現を使った背景画像に変更されたことや、負傷後に競技コースを滑れないと分かって泣いていた際、嫌味と受け取る言葉をかけられたことなどを挙げています。
さらに、出場できないことが決まった後は治療をしてもらえなかったと訴えています。
近藤さんはその一方で、日本オリンピック委員会から帯同した医師やトレーナーについては、出場を目指すための治療やケアをしてくれたと説明しています。
これらは近藤さん本人の主張として報じられた内容です。
今回確認した主要報道では、指摘を受けた側の詳しい説明や、競技団体による事実関係の調査結果までは掲載されていません。
近藤心音はなぜ引退?8月の告発で競技環境への思いも明かす
近藤さんは2026年6月8日に現役引退を発表しています。
当時のInstagram投稿では、約12年間の競技生活を終えると報告し、「体と心を守るためにも、身を削る挑戦はここまで」といった趣旨で決断を説明していました。
今後はプロスキーヤーとして活動し、妹の選手活動のサポートや、次世代の育成に関わることも視野に入れているとしています。
そして8月24日の投稿では、引退を決めた背景についてさらに踏み込んだ思いを明かしました。
デイリースポーツやスポニチアネックスによると、近藤さんは競技環境に身を置き続ければ心が持たないと感じ、離れる選択をしたと説明しています。
一方で、今回の発信は誰かを攻撃するためではなく、日本のフリースキー界がより良い方向へ変わり、次の世代の選手が努力を報われる環境になってほしいという思いからだとしています。
6月の引退発表では体と心を守るという表現にとどまっていましたが、8月の投稿によって、近藤さん自身が競技環境で経験したとする出来事も引退判断の背景にあったことが語られた形です。
近藤心音の世界選手権「強制棄権」で現在分かっていること
近藤心音さんの「世界選手権の強制棄権」について、公式記録で確認できるのは、2025年エンガディン世界選手権の女子フリースキー・スロープスタイルで近藤さんがDNSになったことです。
近藤さんは代表選手として発表され、FISのスタートリストにも名前がありました。その一方で、公式結果には棄権の理由や意思決定の経緯までは記されていません。
「強制棄権」という言葉は、2026年8月24日に報じられた近藤さん本人の投稿で使われた表現です。
誰の判断で、なぜ出場できなかったのかについては、本人や競技団体から今後さらに説明が出るかどうかが焦点になりそうです。
その後の海外遠征でのいじめや、五輪期間中のパワハラについても、現時点では近藤さん本人の訴えとして報じられている段階です。
一方、世界選手権でDNSだったこと、ミラノ五輪で負傷して棄権したこと、五輪欠場後にSNS上の誹謗中傷を受けたことは、公式記録や当時の報道から確認できます。
今回の告発によって、これまで表に出ていなかった「強制棄権」という本人の認識や、世界選手権後の海外遠征で抱えていたとする苦しさが新たに語られました。
今後、関係団体から説明や対応が示されれば、「強制棄権」がどのような経緯だったのかについても、新たな情報が出てくる可能性があります。

